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レビュー/BABYMETALの超個性的な新曲"Shanti Shanti Shanti"

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Shanti Shanti Shanti / BABYMETAL 2019年9月27日配信 今年6月の横浜アリーナ公演で初披露され,その後も今年のツアーのセットリストに組み込まれているのでファンには馴染みのある新曲だが,当然ながらスタジオ盤はライブ・バージョンとはまるで雰囲気が異なる。 まず,サウンドが非常にヘヴィ。これは完全に予想外だった。EDMというかドラムン・ベースのようなリズム隊の存在感が強烈で,そこに重厚でクランチの効いたギター・リフが重ねられているので,BABYMETALの楽曲群の中でも指折りの重量感を有する曲に仕上がっている。かといって荒々しさは皆無でヘヴィネス一辺倒とうわけではなく,柔らかさと優美さを併せ持つ極めて個性的なテイストに満ちている。それはインド音楽のような独特のメロディとアレンジによるところが大きいと思う。 SU-METALの綺麗な歌声と今までにない歌唱法にも注目だ。裏声を使っているわけではないが,演歌の〈こぶし〉に近い声の出し方をしている部分があり,「SU-METALはこんな歌い方もできるんだ」と素直に驚いた。力強く歌うというよりは一歩引いた感じですべてを優しく包み込むように歌っており,彼女にしては珍しく妖艶さのようなものを感じさせる。SU-METALの新たな一面を垣間見ることができるという点で,この曲は特別だ。 唯一気になったのは,中盤の間奏パートでのギターの弱さ。たとえば今年のグラストンベリー公演ではこの部分は2人のギタリストによるユニゾンになっており,力強くグイグイと楽曲を引っ張っていたことが印象的だった。ところがスタジオ盤ではパワフルなユニゾン感はやや後退し,推進力にもやや欠けている感じがする。ライブ盤とスタジオ盤は別物ではあるものの,このパートのユニゾン・プレイはこの曲が持つ疾走感を象徴する一つの重要なパーツだったと思うので,ちょっぴり残念だ。 ところでこの曲はMVも同時公開されている。“PA PA YA!!”や“Elevator Girl”のMVと同じく,今年の日本公演の映像を編集して作られたものだ。BABYMETALの真骨頂はライブにあるので,ライブの映像を積極的に使ってMVをリリースすることには基本的には賛成だ。しかし“Shanti Shanti Shanti”は視覚的にも聴覚的にも今までのBABY