投稿

10月, 2019の投稿を表示しています

感想/WOWOWが放送した「BABYMETAL復活と進化」の横浜アリーナ公演2日目

2019年10月16日 Text by TARO-METAL BABYMETALが6月29日に横浜アリーナで行ったライブ「BABYMETAL AWAKENS - THE SUN ALSO RISING -」の模様が10月11日,WOWOWで放送された。同会場で2日間行われた公演の2日目である。サポート・ダンサーは藤平華乃(1日目は鞘師里保)。 物議を醸した2018年の「ダークサイド」を経て,はたして2019年のBABYMETALがどうなるのかということに誰もが注目する中,満を持して行われた横アリ公演。私は1日目に参戦したが,サポート・ダンサーの違いはあれどライブの基本的な構成は変わらない2日目のダイジェストを観て,当時の記憶がまざまざと蘇った。あれからまだ3ヶ月ちょっとしか経っていないのに,あの「奇跡」がずいぶん昔のことのように感じられるからふしぎだ。 この横浜公演2デイズと,その後続けて行われた名古屋公演2デイズの計4公演は,多くのファンが抱えていた不安やモヤモヤを吹き飛ばす会心のライブだった。単に「3人体制に戻った」のではなく,慣れ親しんだフォーメーションの復活を土台に,BABYMETALが次のステージへと進化したことを強烈に感じさせるパフォーマンスたったと思う。いくつかの新曲が初披露されたのはその象徴。とりわけ1曲目にいきなり繰り出された“Arkadia”は「新章の幕開け」にふさわしい大いなるインパクトを有していた。 当時はいきなりのことだったので状況がよく分からないまま“Arkadia”は終わってしまったが,3rdアルバム「METAL GALAXY」を繰り返し聴き込んでいる今,ライブ映像でこの新曲のパフォーマンスを目の当たりにすると,いろいろと気づくことがある。 まず,この曲は(この曲もと言うべきか)BABYMETALの他の楽曲と同じく,ライブでこそその魅力を最大限に発揮するということ。何が起ころうとも未来に向けて勇気と覚悟を持って前進するのだという決意に満ちた歌詞が,激しくも美しいダンスと相まってよりドラマティックに感じられる。 そして,そのドラマ性をグッと高めているのが,神バンドによって奏でられる轟音だ。アルバムを聴いた時はその音の薄さ,軽さに正直がっかりしたのだが,さすがにライブでは迫力満点のメタル仕様に仕上がっている。さらに,

レビュー/あらゆる意味で衝撃的なBABYMETALの3rdアルバム「METAL GALAXY」

イメージ
2019年10月13日 Text by たろ a.k.a. TAROO-METAL METAL GALAXY - THE ONE Limited Edition - / BABYMETAL 2019年10月発売 THE ONE Limited Edition BABYMETALらしい「問題作」だ。 アイドル側からBABYMETALにはまった人たちにとっては無理なく受け入れられるだろう。「なんじゃこりゃ!?」と驚くだろうが、抵抗を感じるどころかむしろどの曲も刺さるのではないか。逆にメタル側からハマった人たちにとっては、単純明快なメタル曲はアルバムの最後を飾る“Arkadia”くらいなので、好きになれない(あるいは興味を持てない)可能性も十分ある。単純に3rdアルバムの音楽性が、長らくメタルを好んで聴いてきた人たちの耳に馴染むかどうかが問われるとも言える。要するに好みの問題なのだが。 そもそもメタルを定義することは不可能だ。ある曲が(あるいはあるアーティストの音楽が)メタルかどうかは、その人の受け止め方による。音楽の感じ方は主観的であり、数学や物理の定義のように客観的にメタルを定義することなどできないのだ。だから「METAL GALAXY」がメタルかどうかと問うことは無意味。単純にこのアルバムが好きか嫌いかを表明することしかできない。マーティ・フリードマンが2014年に放った名言「聴いたら好きか嫌いかしかない。でも絶対に無視できない」は,5年経った今でもBABYMETALを評価する上での重要なキー・ワードなのだ。 前作「METAL RESISTANCE」はメタルを軸に据えながらジャンル横断的に様々な音楽をBABYMETAL流に調理した楽曲が居並んだアルバムだった。一方「METAL GALAXY」はもはやメタルに軸があるとすら言えないほど音楽的多様性が広がったアルバムだ。よく言えば「バラエティに富んだ曲が収録されたアルバム」だが、悪く言えば「まとまりがないアルバム」とも言える。どちらに転ぶかば聴き手の音楽的嗜好によるだろう。多様性の振れ幅が常軌を逸したレベルなので、いずれにしても「多様性に満ちている」とも「焦点が定まらず散漫だ」とも受け取られる可能性のあるギリギリの線、紙一重のところを攻めている作品であることに間違いない。 そのような

BABYMETAL 鋼鉄の言葉 第3章 2019年10月版

2019年10月8日 Text by たろ a.k.a. TAROO-METAL 3rdアルバム「METAL GALAXY」のリリースに合わせて,BABYMETALが国内外の雑誌に一気に取り上げられ始めた。各種インタビュー記事に掲載されるSU-METALとMOAMETALの発言は,例によって名言のオンパレード。ひとりのアーティストとして,そしてそれ以前にひとりの大人として,自分が置かれた立場やBABYMETALを取り巻く環境について,20歳そこそこの若者らしく大いに悩みながらも,どこまでも誠実かつ真面目に考え抜き,それでも立ち止まることなく未来に向けて歩み続ける姿が,そこにはある。公私ともども彼女たちのまわりには人間的に尊敬できて信頼の置ける人たちが揃っていることをうかがわせる記事ばかりだ。 今回は,2019年7月以降に各種メディアに掲載された名言を44個,集めてみた。 -------------------- 1 子どもたちから憧れられる存在になりたいです。 ――SU-METAL|『anan』7月10日号 No.2158(2019年7月) 2 自分の発した言葉を,自分で正解にしないといけない。 ――SU-METAL|『anan』7月10日号 No.2158(2019年7月) 3 曲数もそんなに多くない頃から,同じ曲を繰り返しやる中でBABYMETALは進化してきた。その積み重ねが「1+1=100」であり,BABYMETALの証だった。奇跡の3人だからできたこと。 ――SU-METAL|『Rolling Stone Japan』11月号(2019年9月) 4 私はBABYMETALを一つのミュージカルみたいな感覚で捉えているんですけど,BABYMETALっていう演目があって,その中のSU-METALという人物がステージに立って歌を皆に届けながら,自分も成長してく。そこに普段の私はいないほうがいいと思うんです。カッコいいSU-METALだけでいてほしいというか。 ――SU-METAL|『Rolling Stone Japan』11月号(2019年9月) 5 ステージ上のことに関して結成当時から変わらないのは,全力でガムシャラにやること。 ――SU-METAL|『Rolling Stone Japan』11月号(2019年9月) 6