ライブ参戦レポ/BABYMETAL「METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN」

2019年11月21日 Text by たろ a.k.a. TAROO-METAL

以下は2019年11月16日にさいたまスーパーアリーナで行われたBABYMETALのライブ「METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN」の参戦レポである。翌17日のライブにも参戦したので,所々に2日目の感想も追記した。

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本音を言うと,今回のライブよりも6月の横浜アリーナ公演の方が感動したし,より大きく魂を揺さぶられた。それはいわば当然のことで,なぜなら6月の公演はダークサイドから3人体制のライトサイドに戻ってきたという,無視するにはあまりに大きすぎる当時の特殊事情があったから。否応なしにバイアスがかかってしまうのだ。それから5カ月。「不安と期待」ではなく「期待」しか感じない心理状態で参戦した今回のライブは,パフォーマンスの成熟度・ショウとしての完成度という点で6月のそれをはるかに凌駕していたと思う。

北米で9月から10月半ばまでの1カ月半で行った20公演が新生BABYMETALのパフォーマンスを格段にレベルアップさせたことは疑いようのない事実だろう。6月に再起動してからわずか5カ月で,ショウの完成度は驚くほど高まり,より一層洗練された印象を受けた。それはBABYMETAL自身がアベンジャーズ・システムに馴染んできたからというのが大きな理由だろうが,その根底にはSU-METALとMOAMETALの「私たち2人がBABYMETALを前進させる」という並々ならぬ決意と覚悟があると思う。名曲“Arkadia”の「光より速く/鋼より強く/使命の道に怖れなく/どれほどの闇が覆い尽くそうと/信じたこの道を歩こう」という歌詞は,まさにBABYMETALの今の心情を歌った決意表明なのだ。

北米20公演を経て,2人は「私たちはやれる」という強い自信と確信を得たに違いない。そのことがこの日のステージにはっきりと表れていた。演出も含めてパフォーマンスは威風堂々としていて自信満々,余裕すら感じさせる王者の風格が漂っていた。裏では血のにじむような努力があるはずなのに,そんなことを微塵も感じさせないパフォーマンスは,まるで一流のブロードウェイ・ミュージカルを見ているかのようだった。終始涼しい顔をして優雅に踊っていたMOAMETALはその象徴だ。

約70分のコンパクトなセット・リストで印象に残ったのは“Shine”。これはもうファンによる勝利と言っていいだろう。10月11日に行われたThe Forum公演をファンカム動画やライブ・ビューイングで観て事情を知っているファンが多かったようで,曲が始まるとスマホのライトを点灯させる人の数が徐々に増えていき,最後には本当に星空を見ているかのような幻想的な光景が出来上がったのだ。

この感動的な光景は,ステージで歌い踊る3人の目にはどのように映ったのだろう。きっと彼女たちに絶大なパワーを与えたに違いない。いわゆる「お約束」ではなくて自然発生的に広まっていったという事実に,なんだか心があたたまる。演者と観客が一体となってライブを作り上げるという醍醐味を味わった瞬間だった。(2日目追記:スマホライトの点灯は正式に禁止事項に指定された。それでも観客は点灯することをやめず,このスマホライト騒動は2日目終了後にはちょっとした論争になったことは多くの人が知るところ。)

その他の曲では,“PA PA YA!!”での異常な盛り上がりと,“Arkadia”が放つ圧倒的なメッセージ性と説得力が強く印象に残る。“Distortion”が始まった瞬間に沸き起こった地鳴りのような大歓声もある意味で予想外で,これは新鮮な驚きだった。3rdアルバムのこの曲でデス声を披露したアリッサ(ARCH ENEMY)の影響か,それともあるインタビューでMOAMETALがこの曲をお気に入りとして挙げたことが影響したのか,いずれにしても“Distortion”史上最大級の盛り上がりだったと思う。

結果としてこの日,3rdアルバムから初披露となったのは“DA DA DANCE”だけだった。アンコールを含め全14曲のセット・リストのうち10曲が3rdアルバム,3曲が2nd,2曲が1stの曲だ。大部分が最新アルバムの曲なのでかなり攻撃的なセット・リストだと言えるが,3rdからの10曲中9曲は今までのライブですでに披露済み。セット・リスト的に新鮮味が感じられなかったのはそのあたりが理由だろう。いまだ披露されていない“Night Night Burn”や“Brand New Day”,そして問題作“Oh! MAJINAI”がどのタイミンウグでライブに組み込まれるのかが気になるところ。もちろん3rdアルバム日本限定盤にしか収録されていない“↑↓←→BBAB”や超異色曲“BxMxC”についても同様だ。

SU-METALとMOAMETALのパフォーマンスも,もちろん素晴らしかった。

ライブでのSU-METALといえば〈戦う女神〉然とした凛々しいたたずまいが代名詞だが,この日に関しては鋭い眼光よりも笑顔が勝ったと思う。最初から最後まで心の底から楽しんで歌い,そして踊っているように見えた。長いUSツアーを終えてホームに帰ってきたから,適度にリラックスできていたのかもしれない。いつになく日本語で観客に語りかけるシーンが目立ったように感じたことの背景には,そのような事情も少なからずあっただろう。「Bring Me The Horizonのショウはどうだった?」と日本語で訊かれた時には腰が抜けるかと思った。(2日目追記:SU-METALによる煽りは従来通りの英語路線に戻っていた。日本語だったのは「もっと声出せるよね!」というひと言のみだったと記憶している。)

そしてMOAMETAL。たいして汗もかかず,最後まで涼しげな表情で踊り切ったのはさすがとしか言いようがない。激しく難しいダンスを一見すると簡単そうに踊るという彼女のこだわりが存分に発揮されていたと思う。投げかける目線,一つ一つの所作がきちんと計算されつくされている印象で,全てにおいて余裕を感じさせる美しく艶やかな舞い。10代の頃はパワフルでダイナミックな動きがMOAMETALの特徴だったが,20歳を超えた今,彼女のダンスは非常に洗練されていて美しく仕上がりつつあると感じる。

一方で,残念だったのはサポート・ダンサーの岡崎百々子さんをよく見れなかったこと。座席が上手からステージ真横をやや見下ろす位置だったので,基本的に下手側に立つ岡崎さんを詳細に視認することは難しかったのだ(SU-METALとMOAMETALに視界が遮られてしまう)。しかもスクリーンも見にくいので,もはやお手上げ状態。(2日目追記:良席だったのでちゃんと見れた。藤平華乃さんにも当てはまることだが,岡崎さんの一挙手一投足は“フレッシュ”のひと言に尽きる。ひたすら笑顔,とにかく全力。かつてのMOAMETALやYUIMETALを見ているようだった。)

いろいろ見どころはあったが,地味なところではステージが影の功労者だったと思う。4つの小さな三角形からなる大三角形のメインステージは,それぞれのパーツが独立して上下に動く仕様。最初に全体がせり上がった時はびっくりしたし,“Elevator Girl”では歌詞に合わせてそれぞれの小ステージがランダムに上下に動き続けるなど今までにない演出も見られた。

せり上がった各小ステージの側面は当然LEDパネルになっている。大きなステージは三角形の集合体なので円形ステージに比べて面の数が多くて見るからに豪華だ。正面からはどう見えたのだろう。(2日目追記:ほぼ正面から眺めるステージは,それはそれはとても豪華だった。)

さらにステージの高さは3段階に調整できる模様。後方部分を手前よりも高くすることで立体感がより強調されることとなり,前後の奥行きや左右の広がりと相まって,コンパクトながらもダイナミックで豪華な印象を与える素晴らしいステージ・セットだったと思う。

さて,ここからは時系列でライブ当日の様子を記すことにする。

■会場到着〜物販

会場には13時30分頃到着。まずはグッズ売り場の様子をざっと視察。待機列に並んだのは13時45分。列はすでに会場をぐるっとほぼ1周していたので,長期戦になることを覚悟した。幸いそれほど寒くなかったので救われた。ひたすら読書をして待つ。

待つこと2時間15分。ようやくお目当ての「Ambivalence Tee」をゲット。実は今回のTシャツはどれもデザインがあまり好みじゃないなあと思っていたのだが,実際に現物を見てみたら意外と良かった。「Ambivalence」か「Trance Fox Tee」かで若干迷ったものの,最初の直感を信じて前者を購入。これは大正解だった。ちなみに最速で売り切れていたのはイヤープロテクター。ケースにBABYMETALのロゴが印刷されているのはファンとしてはたしかに魅力だが,普通のプロテクターならAmazonで1,000円前後で買える。ロングTeeにも食指が動きかけたが,鋼の意志を総動員してTシャツ1点のみの購入に留めることができた。

グッズ販売の様子

Bring Me The Horizonのグッズ販売

■入場〜着席

17時にAゲートに集合。大きな混乱もなく発券&セキュリティチェックをくぐり抜け,いざ場内へ。チケットには「200レベル,233扉,25列,696番」とある。17時30分に着席してステージを眺めてびっくり。座席はステージの真横なのだ。目線の高さはステージ全体をすべて視認できるので申し分なし。ただし上手側の本当に真横なので3人の美しいフォーメーションを正面から観られないことは明らか。巨大スクリーンも横から覗き込むような形になるので,おそらくあまり見れないだろう。ステージまでの距離が近いのは嬉しいが,真横というのは正直がっかりだ。

(2日目追記:翌日は同じく上手側のスタンド席だったが,ステージからの距離はpit最後方ブロックとほぼ同じ。ステージ全体をほぼ正面から眺めることができた。もちろんスクリーンもバッチリ見える。400レベルなのでpitの様子もよくわかり,眺めは良好。おまけに1列目だったので遮るものは何もなし。かなり良い席だった。)

Aゲートの様子
BABYMETALの大いなる理解者『ヘドバン』の花もあった。
1日目の座席は上手のスタンド席。ステージの真横。
2日目の座席。同じ上手ながらステージ全体が見渡せた。

開演は当初の予定から30分早められて18時になったが,開演30分前の時点ではまだ客の入りは7割程度か。pit後方ブロックが続々と入場中。超pitは入場が終わっているはずなのだが,スタンドから眺めるかぎりでは比較的空いている印象を受けた。無理して前方に突撃しなければかなり快適なのではないかと推察(後にこれは正解だと判明)。

■Bring Me The Horizon

定刻を10分ほど過ぎて場内が暗転し,BMTHが登場。正直に告白すると,彼らの音楽はあまり私の好みではないので,彼らの曲をまともに聴いたのは今回のライブが初めて。それでも大いに楽しめる最高のショウだった。今日はゲストだが,本来ならばこの会場でメインを張ってもおかしくないビッグバンド。経験と実力に裏打ちされた堂々たるパフォーマンスだったと思う。

スクリーンを効果的に用いた演出は最近のトレンドだ。映像のセンスが独特で,いかにもBMTHらしいなと感じた。サウンドも上々。ボトムがしっかりと出ていて,全体的にとてもタイトな音だった。実に気持ち良い。

終盤では例によってVoのオリヴァーが客席へ。pitの合間を歩いてファンとハイタッチ。驚いたのは階段を登って下手側のスタンド席まで行ったこと。聞くところによればそこには車椅子スペースがあったとのこと。どうやらオリヴァーはその人たちに会いに行ったようだ。歩いた先がたまたま車椅子席だったとは考えにくい。おそらくオリヴァーは事前に把握していたのだろう。これが事実ならば,彼の人柄の良さがうかがわれる素敵なエピソードだ。(2日目追記:オリヴァーは律儀なことに1日目とは反対,つまり上手側のスタンドに登って行った。)

それにしてもBABYMETALファンは誠実というか,真面目だ。BMTHがステージに姿を現した時,すでに客席はほぼ満席。海外ではいわゆる前座の時には客席がまばらであることは珍しくない。パフォーマンス中も拳を振り上げ,歌い,叫び,オリヴァーから「座れ!」と言われれば素直に座り,「ジャンプしろ!」と言われればジャンプする観客たち。BMTHの面々が常日頃からBABYMETAL好きを本気で公言しているからこそ,ファンも彼らを心から歓迎せずにはいられないのだろう(もちろん,BMTH目当てでこの日のチケットを入手したいうファンも少なからずいたはずだが)。

BMTHはおよそ45分のステージを完璧にこなしてステージを去った。前座としての役割はお釣りが来るくらい立派に果たしたと言える。文句のつけようがない。

■BABYMETAL

BMTHの熱いライブが終わって休憩タイム。十分にウォームアップされた会場内からは,いよいよ始まるBABYMETALのライブに対する無言の期待と熱の高まりがひしひしと感じられた。

そして19時20分頃,場内が暗転して会場全体から怒号のような大歓声が沸き起こる。

FUTURE METAL

The Forum公演と同じ演出だ。まるで『攻殻機動隊』のようにSU-METALとMOAMETALの〈ボディ〉が形成され,その表情が大写しになるシーンは鳥肌モノ。レーザー光線によってメタリックなBABYMETALのロゴが削り出されていく様子も最高にクールだ。(2日目追記:2日目は私の周囲で立ち上がる人は皆無だったので,雰囲気に流されて私も最初から最後までずっと座って参戦することになった。BABYMETALのライブ参戦史上初の珍事である。)

DA DA DANCE

実にシンプルだと思っていたステージが曲の開始とともにせり上がったのでびっくり。正直度肝を抜かれた。ステージ側面のLEDパネルと背面の大スクリーンを存分に活用した派手なビジュアル演出が目をひく。観客の「待っていました!」感が強烈に感じられた一方で,この曲のノリ方がイマイチ分からない自分がいたのも事実。かつて本当にジュリ扇を振っていた人には問題ないのだろうけど。

ギミチョコ!!

BABYMETALの代名詞ともいえるキラー・チューンを2曲めに持ってきたことににびっくり(早くも二度め)。もはや定番となったリアルタイムCG合成の演出が巨大スクリーンに映し出された。

Elevator Girl

上述の通り,歌詞の内容そのままにステージが上下に動きっぱなし。ちょっとしたアトラクションのようで,見ていて楽しい。躍動感もあって良かった。

Shanti Shanti Shanti

これは正面から見たかった。巨大スクリーンに映し出される曼荼羅模様を模したビジュアル演出と3人の優美で艷やかなダンスがあってこそ,この曲は魅力を存分に発揮する曲だと思っている。しかしくどいようだが,この日の座席はステージ真横……。この曲のときほど今回のポジションを悔やんだ瞬間はない。ふとpitに目を向けると,サビの部分でpitが上下に大きくうねっていた。多くの人がジャンプしていたのだ。この曲は強烈な縦ノリなので,どうしたって飛び跳ねたくなる。自分もpitにいたかった。(2日目追記:ほぼ正面から観ることができた。やはりこの曲はビジュアル演出とセットで楽しむべきだと痛感。素晴らしく見応えがあるパフォーマンスだった。)

Starlight

SU-METALの孤高の歌声が魂を貫く。この曲はレーザー光線による演出が素晴らしく見応えあるのだが,ステージの真横からだとレーザーを含め照明の〈光の軌跡〉がよく分かった。正面からは絶対に味わえないサイドならではの光景。ついさっき感じた絶望に近い不満は,この曲で一気に解消された。

 Kagerou

間違いなく今日のハイライトの一つ。歌詞世界をうまく演出に取り入れて視覚化したと思う。ステージ上には炎がゆらゆら揺れており,スクリーンに映し出されるSU-METALやMOAMETALの姿も時おり陽炎のようにゆらゆら揺れるエフェクト処理がなされる。素晴らしかったのは視覚効果だけではない。アルバムで聴くよりもボトムがガッチリ効いたサウンドは迫力があり,実にライブ映えする曲だと感じた。ちなみに冒頭ではMOAMETALが三角形ステージの先端までやってきて,何やら観客を煽る仕草を見せた。一瞬のことだったけど,これはかなりクールでかっこよかった。

Distortion

小さな三角形のステージが3つ上昇。それぞれのステージにはSU-METAL,MOAMETAL,MOMOKO-METAL(仮)が別々に立っていた。立体感ある演出で,ステージが実際よりも大きく,広く感じられた。上述の通り観客からはこの曲史上最大級の大歓声が沸き起こったが,これはMOAMETALが「3rdアルバムではこの曲が好き」と公言したことと関係があるのだろうか。オーディエンスの「Give up, give up!」「The distortion!」という絶叫は凄まじい迫力だった。(2日目追記:pitでは合計8個のサークルが発生。しかも,そのどれもが凶悪なまでに高速回転していた。)

メギツネ

もはやクラッシックと称してもいい曲だが,洋の東西を問わず現時点でも依然として大人気であることがうかがわれる盛り上がりだった。キツネ面を放り投げる前に観客を煽る際,SU-METALが小首を可愛らしくかしげながら「Are you ready?」と言ったのは反則だ。(2日目追記:残念ながら2日目は小首をかしげなかったが,語尾がキュートに上がり気味だった。)

PA PA YA!!

分かってはいたものの,この曲の破壊力たるや……。95%の人がタオルを回したのではなかろうか。盛り上がりもさることながら,会場内の尋常ならざる一体感がハンパない。これはとうてい文字で伝えきれる熱量ではないので,実際にライブに行ってみないと分からないだろう。実は本邦初公開となる“DA DA DANCE”が今日のライブを〈持っていく〉かと予想していたのだが,まだ“PA PA YA!!”には及ばない印象だ。今まで個人的には“メギツネ”が一番の盛り上げ曲だと思っていた。しかし本日をもってその認識を改めて,“PA PA YA!!”を最高のアゲ曲と認定する。

KARATE

“PA PA YA!!”で極限まで高まった会場内のヴォルテージが,この曲で若干静められた感じがする。ライブは終盤にさしかかるが,SU-METALの歌声は絶好調を維持。「はーしーれー!」のロング・トーンはこの日も絶品だった。この曲でもおなじみのリアルタイムCG合成が登場。エフェクト処理は今までとは異なっていた。従来の特殊効果はスクリーンに映し出されたSU-METALやMOAMETALの手が炎をまとうというもの。一方この日のそれは曲のリズムに合わせて画面が力強く揺れながらフラッシュするというエフェクト処理。楽曲の力強さが視覚的に表現されており,実にかっこよかったと思う。

Road of Resistance

些細なことだが,いわゆる旗芸が変わった。冒頭,いつもならフラッグをMOAMETALに手渡すところを,この日のSU-METALはステージ先端から真下にストンと落としたのだ。さり気なくそっと落とすというよりも,やや無造作に,半ば放り投げるような感じで落としたので,ちょっとびっくりした。さらに最後の「レージースターーーーーーーーンス」が超ロングトーンで2度びっくり。SU-METALの肺活量は何ccあるのだろう。この部分ではSU-METALが叫び続けている間,MOAMETALは両膝をついて拳を掲げながらずっと海老反りになるのだが,この日のこのシーンはMOAMETALにとってはちょっとした拷問だったかもしれない。「We are BABYMETAL!」のコール&レスポンスで締めて,本編は終了。(2日目追記:この曲が終わった段階で会場を後にする人が少なからずいたが,はたして彼ら・彼女らは本当にここでライブが終了したと判断して帰ってしまったのだろうか。)

Shine

ここからは,いわゆるアンコール。上述の通り,見どころはスマホライトによって〈銀河〉が創造されたことに尽きる。絶唱と呼ぶにふさわしいSU-METALの歌と,まるで宗教的儀式のシャーマンのように舞うMOAMETAL,そして素晴らしいライティングによる演出——ステージ上に現れたのは,大げさに言えば総合芸術と呼びたくなるような圧巻の感動的幻想世界だった。この曲ほどSU-METALの〈天を貫くまっすぐな歌声〉を堪能できる曲はない。(2日目追記:1日目の出来事を受けて,開演中のスマホライトの使用が正式に禁止された。運営側の対処がずいぶん速いなと驚いたが,実際には多くのファンがスマホライトを点灯させていた。)

Arkadia

これから5年くらいはライブの最後を飾る定番曲の座に君臨し続けるのではないかと思うくらい圧倒的だった。歌詞に込められたメッセージ性と,その世界観を具現化するSU-METALの美しく力強い歌声,MOAMETALの情熱ほとばしるダンス,そしてもはや人間にはとうてい演奏不可能な超絶プレイを傍目には難なくこなしてしまう神バンド鉄壁の演奏——曲にノルとか,合いの手を入れるとか,そんなことをしようという気にはもはやなれず,ただただステージ上の光景に目を見張り,半ば呆然と美しき轟音に耳を傾けるのみ。多くのファンは,ライブで披露されなくなって久しいSU-METALのソロ曲“紅月-アカツキ-”を目の当たりにした時と同じような感覚に陥ったのではないか。曲が終わるとSU-METALが何か話したが,私はといえば半ば放心状態で,彼女が何と言ったのか分からなかった。そんな私を目覚めさせるかのようにパイロが大音響とともに炸裂し,一大スペクタクル・メタル・ショウ幕を閉じたのだった。

エンディング

最後の「紙芝居」は1月に行われる幕張公演2デイズの告知。どうやら3人のアベンジャーズが集結し,国内組と海外組の神バンドが降臨する模様。神バンドの入れ替えは楽曲の雰囲気に大きな影響を与えるので,その違いを楽しめるのは嬉しいかぎり。


買ったTシャツはこのデザイン!

【セット・リスト】

METAL GALAXY WORLD TOUR 2019 IN JAPAN
2019年11月16日(土)
さいたまスーパーアリーナ

01. FUTURE METAL
02. DA DA DANCE
03. ギミチョコ!!
04. Elevator Girl
05. Shanti Shanti Shanti
06. Starlight
07. Kagerou
08. Distortion
09. メギツネ
10  PA PA YA!!
11. KARATE
12. Road of Resistance
- Encore -
13. Shine
14. Arkadia

*2日目のセット・リストは1日目と同じ。





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