ライブ参戦レポ/BABYMETAL「LEGEND - METAL GALAXY」1日目

2020年1月28日 Text by たろ a.k.a. TAROO-METAL

結論から言うと,BABYMETALは「予想のはるか斜め上を行く」グループであることを改めて思い知らされた1日だった。“Road of Resistance”での「全員出撃」がその象徴だ。もともと神バンドとして君臨してきた日本のプレーヤー4人に加えて,去年のUSツアーを支えてきた外国のプレーヤー4人,そしてサポート・ダンサーの3人,そしてもちろんSU-METALとMOAMETALの2人,総勢13人がたった1曲のためにステージに並び立って共演するとは。おそらく誰も予想だにしなかった奇跡の瞬間だったに違いない。

今回の「Extra Show」が2日間あり,事前に「東と西が云々」と知らされていたため,1日目と2日目をそれぞれ東洋の神バンドと西洋の神バンドで分担し,さらにアベンジャーズの3人も昨年10月のThe Forum公演の時のように交代で登場するのではないかと予想した人は多かったはず。そのうえで「光と闇」というキー・ワードから「METAL GALAXY」のDisc-1とDisc-2を完全再現するのでは,という憶測も流れていた。結果として1日目に関しては後者の予想はほぼ正解となったわけだが,まさかRoRをギター4人,ベース2人,ドラム2人というダブル・バンド状態でプレイし,ステージ上にはSU-METAL,MOAMETAL,鞘師里保,藤平華乃,岡崎百々子の5人が勢ぞろいするという事態になるとは,もしかしたらキツネ様にだって知らなかったかもしれない(Even The Fox God doesn't know.)。

時間を少し巻き戻そう。RoRの前には久しぶりに紙芝居が流された。基本的な内容はかつての「戦国WOD」だが,それをもとに「光の軍勢vs闇の軍勢」という風に書き換えられており,何やら思わせぶりだなと思っていたら,ステージ上では実際にまさかの光景が。

視界が遮られていたためステージ上を直接見ることができず,スクリーンとモニターの映像でやや遅れて確認したのだが,ステージ上では白装束に身を包んだ東の神々と黒装束を身にまとった西の神々が共演し,しかも鞘師里保,藤平華乃,岡崎百々子の3人も同時にステージに立つという驚愕の事態になっていたのだった。つまり全員出撃。これぞまさしくアベンジャーズ。しばらくは「これは本当か?」とにわかには信じられなかった。神バンドは入れ替わったのでは?アベンジャーズは本当に3人がいっぺんに出てきているのか?もみくちゃになりながらスクリーンとステージを何度も凝視して確認し,ようやく納得。これは現実なのだ。心底驚いた。

おそらくはもう2度と見られないであろう奇跡的な光景を目に焼き付けるべく,落ち着いてスクリーンとステージを観察した。東西の神々はこの共演を楽しんでいるように見えた。仮面を付けているので表情を窺い知ることはできないが,お互いにアイコンタクトしながら「やるねえ!」「いいねえ!」といった感じで楽しそうにプレイしていたと思う。プレイヤーが2倍になるのでサウンドの迫力も増した印象だ。

鞘師里保,藤平華乃,岡崎百々子の3人を従えたSU-METALとMOAMETALも実にかっこよかったし,何よりステージ上がめちゃくちゃ豪華だった。こんなスーパー・グループがかつて存在しただろうか。各々が文字通りの主役級。その5人が一つのステージに並び立つという奇跡。

RoRの時にはフロアもぐちゃぐちゃの大興奮状態だったが,それより何よりステージ上で繰り広げられている信じがたい光景に目を奪われっぱなしだった。明日を除けば,多分もう2度と体験できないであろう贅沢の極み。

そのような超弩級のサプライズに加えて,1日目の公演で非常に感慨深かったのが「紙芝居」の復活と世界初披露となった“Oh MAJINAI!”の演出だ。かつて“おねだり大作戦”の前に流されていた,あの紙芝居。独特の軽いノリとナレーションも当時のまま。「ない物ねだり」というその内容から一瞬“おねだり大作戦”の復活かと思ったが,現実はやっぱり「予想のはるか斜め上」なのだった。

そして始まった世界初披露となる“Oh! MAJINAI”は,ほとんどSabatonのヨアキムのプロモーション・ビデオと言ってもいいくらい「笑撃的」な内容だった。スクリーン内で増殖するヨアキム。コサック・ダンスを踊るヨアキム。そのコミカルな演技は巨大スクリーンに大写しに。これを「ヨアキムの無駄遣い」と呼ばずして何と呼ぼう。ステージ上でも3人がキュートにコサック・ダンスのステップを踏み,輪になって踊っていたのだが,ほとんどの観客の目はスクリーンのヨアキムに釘付けだったはずだ。

正真正銘のメタル戦士であるヨアキムをコミカルにキャラクター化してしまった大胆な演出と復活した紙芝居。初期のBABYMETALが有していた「遊び心」が戻ってきたことが,2014年から彼女たちを追い続けている私にはとても嬉しかった。

BABYMETAL史上最大級のサプライジングな演出が度肝を抜いた1日目は,振り返れば「
light Side」すなわち「光の力」がテーマで,セット・リストはMETAL GALAXY」のDisc-1をほぼ完全再現。披露されなかったのは日本盤限定収録の“↑↓←→BBAB”のみ。それら7曲に加えて1st「BABYMETAL」から“ギミチョコ!!”,“メギツネ”の2曲,2nd「METAL RESISTANCE」から“ヤバッ!”,“THE ONE”,“Road of Resistance”の3曲,合わせて12曲が披露されたのだった。

さて,ここからは時期列に沿ってライブ当日の模様を管端に記しておく。

■会場到着&物販

12時45分頃,会場に到着。一般の物販開始は13時の予定だが,待機列はすでに想像を超えるレベルの長蛇の列。列は物販会場のホール4からホール1〜3の前を横切り,西エントランスを出て駐車場へと続く通路まで伸びていた。幸いだったのは最後尾に着くなり列が前進し始めたこと。しかも止まることはほぼ皆無で,あってもせいぜい数十秒程度。ストレスをさほど感じなかったので,ホール4に入るまでに1時間20分ほどかかったものの,体感的にはあっという間だった。そこからさらに1時間ほど並び,お目当てのTシャツ1枚とラバー・キーホルダーをゲット。並んだ時間は合わせて2時間20分ほど。

今回のグッズでは初めてラインナップされたバトル・ジャケットと,そのジャケットに貼り付けるワッペン9種が注目を集めた。その人気は凄まじく,私がホール4に入った時にはワッペンはすべて売り切れ。バトル・ジャケットもXXLサイズは完売という状態だった。ここまで需要があるとは,さすがに運営側も想像できなかったのではないか。まるで2014年頃のような「瞬殺」ぶりであった。

物販会場のホール3/グッズをディスプレイ中

いつものようにたくさんのフラワー

もちろん『ヘドバン』の花もある

■入場

告知されている入場開始時刻は16時30分だが,今回は管理番号により入場には若干の時差が設けられている。私の番号だと入場は17時。時間通りに待機場所となるホール3に到着した。ホールは室内なので風による寒さは感じないものの,外に面した出口は開いたままなので,だんだん手足が冷えてきた。じっと待つことおよそ30分。ようやく入場開始となったようで,列が前進し始めた。いったん外に出て待たされたのでちょっと寒くて困ったが,ほどなくして会場にイン。発券されたブロック指定券に記されていたブロックはC。場内地図によれば前方から2列目の下手側のブロックだった。18時にCブロックに到着し,待機。すぐそばには2015年のライブで視界に入って邪魔だった柱があるが,今回は問題なし。

ホール3/1日目の待機場所

■開演

FUTURE METAL
始まった瞬間,スクリーンの巨大さに度肝を抜かれた。ステージ後方の巨大スクリーンに加えて,両サイドの小ぶりのモニターも一体化しているため,会場の横幅ほぼいっぱいに映像が展開。直接体験したわけではないが昨年10月のThe Forum公演のスクリーン並みだったのではないか。

DA DA DANCE
ステージの中央部分がせり上がり,3人が登場。ステージそれ自体は昨年11月のさいたまスーパーアリーナ公演ほど凝った作りではなかったように見えたが,それでも大きくて迫力があった。SU-METALのパフォーマンスはのっけから絶好調の模様。

Elevator Girl
アルバムの曲順通りにこの曲が披露され,「METAL GALAXY」完全再現への期待が膨らむ。スクリーンに映し出される映像は,従来通りエレベーターを感じさせるエフェクト処理がなされていた。

Shanti Shanti Shanti
この曲が始まって「完全再現」を確信した。神バンドのコスチュームが久しぶりに白装束であることも「Light Side」の象徴なのだろう。縦ノリのリズムが楽しいこの曲をpitで体験するのは初めて。思いっきりジャンプして思う存分楽しんだ。

紙芝居
ここでまさかの紙芝居。雰囲気はあの「おねだり大作戦」前に流されていたものと酷似していたので,「もしかしたらBLACK BABYMETAL復活か?」と思ったものの,さすがにそうはならなかった。「パラダイス・メタル銀河」や「しゃかりきモッシュッシュ」という言葉に思わず微笑む。

Oh! MAJINAI
世界初披露。上述の通り,もはやSabatonのヨアキムのためのプロモーション・ビデオ。ヨアキムは増殖するし,コサック・ダンスは可愛いし,完全なるカオスの世界が出現した。スクリーンに目が釘付けでステージ上の3人の振付をあまり確認することができなかった。

ヤバッ!
イントロが始まった瞬間,後ろにいた外国人が「No Way...」とつぶやいたのが印象的。周辺からも「まさかこの曲が!?」といった感じの歓声が上がる。YUIMETALの残像が色濃く残るこの曲のサポート・ダンサーに抜擢されたのは鞘師里保だった。個性的で見ていて飽きないダンスにキャッチーなメロディ。やはりこの曲は名曲だ。

Brand New Day
これも世界初披露。照明とスクリーンの使い方が2014年9月の幕張公演で披露された“Catch me if you can”の「影絵」っぽくて良かった。もともとSU-METALのヴォーカルを堪能すべき曲だが,ライブではその魅力が一層増す印象。素晴らしい歌声だった。実にライブ映えする曲だ。

ギミチョコ!!
メギツネ
この2曲はライブでは絶対に欠かせないクラシック・ソング。フロアのモッシュとジャンプがいっそう激しくなった。盛り上がりは間違いなくこの日随一。“メギツネ”の「変顔対決」ではMOAMETALがSU-METALにむけて「チュッ」と投げキッスを飛ばしたように見えた(たまたまモニターに写っていた)。

Night Night Burn!
世界初披露3曲目。フラメンコを模したようなステップが魅力。映像化されたらしっかりと見たい。例の「ティコティコティン……」の部分はどこかラテンの雰囲気を感じさせるちょっぴりセクシーな感じの振り付けだった。

THE ONE
予想外の日本語バージョンだった。いったいいつ以来だろう。場内がどよめくくらいの衝撃だったし,久しぶりすぎでなんだか違和感を感じたのも事実。SU-METALにとっても日本語で歌うのは久しぶりだったわけで,そのことが影響したのか途中で歌が完全に先走ってしまい,楽器隊のリズムから外れてしまう場面があった。ドラムの青山氏が強烈にバスドラを踏んで楽器隊全体を引っ張って見事に修正。

紙芝居
Road of Resistance
上述の通り,この日一番の衝撃はこの曲の演出にあったわけだが,後にTwitterに散見された「フラッグを持った5人がスクリーンに抜かれた」場面を私は見逃した。まさに「アベンジャーズ」だったようなので,悔やんでも悔やみきれない。2日目にもこの曲がセット・リストに組み込まれるといいのだが。

【セット・リスト】
01 FUTURE METAL
02 DA DA DANCE
03 Elevator Girl
04 Shanti Shanti Shanti
紙芝居
05 Oh! MAJINAI
06 ヤバッ!
07 Brand New Day
08 ギミチョコ!!
09 メギツネ
10 Night Night Burn!
11 THE ONE
紙芝居
12 Road of Resistance

余韻に浸る
お目当てのグッズを無事にゲット






コメント

  1. レポおつかれさまです

    THE ONEについてですが
    SU-METALが先走ったとありますが
    現場で聴いた限りではレコーディングバーションに忠実に再現されていたと思われます
    2コーラス目の入りはあえてピアノは拍をずらす奏法になっていますね
    タイミング取りづらいアレンジだと思いますが流石にSUだと感服するポイントでもあります
    フルバージョンでの演奏が久しぶりなこともありライブで聴き慣れていらしゃらないかたも多くいたと思うのでこのような感想が出てきたと思われますが
    ちょこっと気になりましたので一言(*・ω・)ノ
    失礼しました

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