レビュー/BABYMETALの新曲“メタり!!”は究極の鋼鉄お祭りソング

 メタり!! / BABYMETAL
2023年8月配信開始&MV公開


最新アルバム「THE OTHER ONE」がダークでシリアスな作風だったので,“メタり!!”を聴いた多くの人は久しぶりの「なんじゃこりゃ!」系ソングにびっくりしたかもしれない。しかしちょっと冷静になってBABYMETALの歴史を紐解けば,この曲が特に異質というわけではなく,いかにもBABYMETALらしい曲であることは容易にわかるはずだ。

サウンドは「THE OTHER ONE」の系統に属するゴリゴリ重低音。そこに日本人の琴線に触れる三味線の音色と超ダンサンブルな盆踊りのノリが加わり,唯一無二の超個性的な楽曲に仕上がった。強いて言えば“メギツネ”と“PA PA YA!!”をかけあわせたような感じだろうか。BABYMETALにしては分厚めのコーラス(かけ声)が楽曲の迫力をプッシュしており,お祭り感が高まっているのも良い。

SU-METALの歌唱にも注目だ。最近はしっかりと歌いこむ曲が多かったSU-METALだが,この曲は歌うというよりはテンポよく言葉数を詰め込んで語る感じなので,新鮮な印象を受ける。全体的に中音域主体でパワルフなのもポイントだと思う(とくに“わっしょい!わっしょい!”の部分)。途中でちょっぴりファルセットを使ったり,最後で少しだけビブラートを掛けたりしているのも珍しい。歌い手としてのSU-METALの引き出しの多さを痛感させられる。

音源リリースと同時に公開されたMVでは新メンバーのMOMOMETALがフィーチャーされている。曲の半ばでMOMOMETALが歌舞伎のように見得を切るシーンがあるのだが,これはBABYMETALの一員としての彼女がまだ何色にも染まっていないからこそ可能な演出だと思う。すでに確たるイメージが固まっているSU-METALやMOAMETALには似つかわしくないし,もし2人のどちらかが見栄を切ったとしたら,それはそれでかなり違和感があったのではないか。

それにしてもサウンドが分厚くて重量感があり,実にかっこいい曲である。RAGE AGAINST THE MACHINEのトム・モレロがフィーチャーされているが,そのインパクト以上に曲そのものが素晴らしい。BABYMETALの数ある楽曲の中でも,ライブでの盛り上がりという点では群を抜いているのではないだろうか。究極の「鋼鉄お祭りソング」の誕生だ。

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