レビュー/新曲“Song 3”は真面目にふざけるBABYMETALの真骨頂
Song 3 / BABYNETAL x Slaughter To Prevail
2025年5月29日配信開始
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3人が着ているのは特攻服!? |
BABYMETALが新曲“Song 3”をリリースした。8月発売予定の新アルバム収録曲で,ロシアのSlaughter To Prevailとのコラボ曲である。MVも同時公開された。
1stアルバムに収録されている“4の歌”の系譜に属する,数字の3(「さん」と読む)にまつわる言葉遊び的な歌詞がこの曲最大の目玉。ひたすらに「~さん」と韻を踏む歌詞は,意味があるような,ないような……。久しぶりに「なんじゃこりゃ!?」と目が点になった。遊びごごろが満載で,ふざけたことを大真面目にやり切るBABYMETALの真骨頂と言えよう。
次がら次へと繰り出される「~さん!」。その歌詞(?)を異常な高さのテンションで絶叫し続けるデス/シャウト・ヴォーカル。狂気と怒気に満ちたパートから,SU-METALの歌声が響くキャッチーなパートへの唐突な切り替え。このスイッチングは爽快ですらあり,コントラストが強烈だ。「3」にちなんで3分33秒(正確には34秒?)とコンパクトな作りのわりに構成が凝っている。
MVを観るとMOMOMETALがかなりフィーチャーされていることが分かる。デス・ヴォイスがMOMOMETALによるものであることに加えて,ダンスではセンターに立って踊るシーンも多い。MOAMETALも「抜かれる」カットが多く,その一方でSU-METALの存在感は控えめだ。MOMOMETALと MOAMETALをいつになく前面に押し出した演出は,YUIMETALとMOAMETALのユニットBLACK BABYMETALを彷彿とさせる。
MVはヘンテコリンな映像にも注目だ。歌詞に負けず劣らずシュールで,こちらもストーリーがあるようで,ないような⋯⋯という感じ。ダサかっこいいことこの上ない映像は,いかにもメタルっぽい。この路線は“RATATATA”で共演したELECTRIC CALLBOYの得意技だが,その時の経験を活かしたBABYMETALの新境地と言えるかもしれない。
歌詞も映像もコミカルでシュールな“Song 3”だが,サウンドは一転して極めてヘヴィで豪鬼。そのインパクトは凄まじい。このあたりはSlaughter To Prevailが実に良い仕事をしていると思う。個人的には「THE OTHER ONE」(2023年)収録の“MAYA”がBABYMETALの楽曲中1,2を争うヘヴィネスを誇っていると思うのだが,“Song 3”の重量感とゴリゴリ感はそれをも上回る,BABYMETAL史上最高レベルの凶々しいサウンドである。Slaughter To Prevailのアレックスがこの曲のインスト版の映像をYouTubeで公開しているので,ぜひ視聴してほしい。“Song 3”がもつサウンドの重厚感がよく分かるはずだ。
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