ライブ・ビューイング観戦記/BABYMETALがついに海外公演でもセンター・ステージを導入!

 2025年11月1日,BABYMETALが米・ロサンゼルスのIntuit Domeで単独ライブ「BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 SPECIAL ARENA SHOU IN US INTUIT DOME LOS ANGELS」を行った。「ARENA SHOW」と言いながらDOMEと名のつく巨大な会場で行われたこの公演は日本に生中継され,全国の映画館でLIVE VIEWINGが開催された。以下はその鑑賞レポである。

なお,当日はライブ本編の生中継に先駆けて2019年10月に同じくロサンゼルスで行われた「LIVE AT THE FORUM」が上映された。その感想もあわせて載せておく。

○「Special Arena Show In US Intuit Dome」

-座席

会場はユナイテッド・シネマ幕張。スクリーン6のキャパは212人だが,客の入りは7割ほどか。思いのほか空いていた。座席は最後列から2列目の上手ブロック。最後方の端っこという微妙な位置だったが,いざ始まってみると特に見にくいということもなく,何の支障もなかった(映画館なのだから当たり前と言えば当たり前か)。

妻METALと2人で鑑賞

-客層

客層はふだんのライブとさほど変わらなかったように思う。つまり中高年男性がほとんど。カップルで見に来ていた人もいたが,年齢層がやや高めであることに変わりはない。欧米や東南アジアのように,日本でも若者がもっと足を運ぶようになってほしいと切に願う。

-まさかのセンターステージ

スクリーン越しに会場の様子を見てビックリ。四角形のステージが会場の中央にあるではないか。これはまさかのセンター・ステージか? と半信半疑だったが,いざ開演してみたら本当にセンター・ステージだった。これは完全に予想外。

BABYMETAL史上,センター・ステージで行われたライブは過去3回しかない。2014年と2021年の日本武道館(「LIVE AT BUDOKAN ~ RED NIGHT & BLACK NIGHT APOCALYPSE」,「10 BABYMETAL BUDOKAN」),そして2016年の東京ドーム(「LIVE AT TOKYO DOME」)である。めったに見られないセンター・ステージが海外公演でも実現するとは……。しかも,自身が今まで北米で行ってきた単独ライブの歴史の中で最も大きな会場で,というおまけ付き(Intuit Domeのキャパは18,000人。あのMETALLICAがライブを演るような規模の会場だ)。これは相当に感慨深くて,「ついにこの時が来た」と言うより他ない。この日のライブはBABYMETALの新たな伝説になることは間違いないだろう。

なお,神バンドの面々はステージ外周の一段低くなった位置で演奏していた。四角形のステージの1辺に1人という立ち位置なので,互いの姿を確認することはできないという状況。演奏はさぞかしチャレンジングだったのではないかと思う。

-圧巻のパイロ

センター・ステージという見栄え良いステージをさらに過激かつ豪華に見せていたのが,これでもかと吹き上がるパイロ(火柱)である。

最近はBABYMETALにかぎらず多くのアーティストが大きなスクリーンを用いて映像を多用した演出をしているが,映像では表現できない生々しく圧倒的な迫力がパイロにはある。特にINTUIT DOMEのように大きな会場で,しかもセンター・ステージというセッティングではパイロの効果は絶大だ。この日のBABYMETALは存分に活用したことで,パフォーマンスのインパクトが視覚的に数倍増しになっていたと思う。

先月(2025年10月)開催された「LOUD PARK」でパイロ導入にはかなりのコストがかかることを知ったので,特定の曲限定ではなく要所要所で贅沢にパイロを炸裂させる演出を目の当たりにし,チームBABYMETALの資金力の高さを思い知らされた次第である。

-セットリスト

最新アルバム「METAL FORTH」からは“Algorism”と“White Flame - 白炎 -“を除く8曲が披露された。今回のワールド・ツアーでは一部の新曲が公演ごとに入れ替えられていたが,それらが全てまとめてセットリストに組み込まれた形になる。

結果としてセットリストの全15曲のうち半分以上を最新アルバム収録曲が占めるというアグレッシブな構成になった。とりわけ圧巻だったのが5曲目から11曲目までの中盤。ここに7曲連続で「METAL FORTH」収録曲を配置するという大胆さは,いかにもBABYMETALらしい。

なお,“My Queen”では同曲でフィーチャリングされていたコートニーが登場してパワフルな歌声を響かせた。ファン待望の「完全版」のお披露目である。また“THE ONE”はかなり久しぶりに英語詞バージョンだった。これは嬉しいサプライズ。

個人的には3rdアルバム「METAL GALAXY」からの選曲をもう少しなんとかしてほしいと思う。ライブで披露されるのは“PA PA YA!!”,“Distortion”,“BxMxC”の3曲にほぼ固定されてしまっているのが現状だ。しかし同アルバムは2枚組全16曲という大作なのだから,フレキシブルに選曲しないと埋もれてしまう曲が増えてしまってもったいないと思うのだが。

A4紙ペラ1枚の掲示が寂しい

○「LIVE AT THE FORUM

このライブが行われたのは今から6年前,2019年10月11日のこと。つい最近の出来事のような感覚でいたが,実際には6年も昔のことなのだ。もうそんなに経ったのかとびっくりした。

ところでTHE FORUM公演は当時ライブ・ビューイングが全国の映画館で企画されていたのだが,台風の影響で一部の映画館では開催中止になってしまったというエピソードがある。私が行く予定だった幕張もその例に漏れず中止になった。その意味では6年越しのリベンジとも言えるのだった。

-衣装がかっこいい

この時の衣装コンセプトは「Butterfly」。優美かつ上品でありながらメタルっぽさを感じさせるデザインが素晴らしく,個人的には一番好きかもしれない。蝶の羽根の紋様を模した装飾がとにかく綺麗。

-“FUTURE METAL”がかっこいい

ライブのオープニングはCGを駆使した“FUTURE METAL”。近未来的な演出はPerfumeっぽくもあり,BABYMETALの歴史の中でも異質なテイストだ。新世代感が強烈。

-意外な楽曲

“Elevator Girl”は今となってはライブではめったに披露されないレア曲だが,この時はそれが“English Ver.”だったから,なおさら珍しかった。今後もう2度と見られない(聞けない)のではないか。

-感動のラスト

ライブを締め括ったのは“Shine”~“Arkadia”の2曲。いわゆる「光の3部作」のうちの2曲だが,光あふれる演出と希望に満ちたメッセージ性の強い歌詞,銀河を連想させる壮大なスケールが実に素晴らしい。この多幸感とカタルシスは何ものにも代えがたい。世界観が強い曲なのでライブの定番にはならないだろうが,ここぞという勝負どころではぜひセットリストに組み込んでほしい。

-アベンジャーズ

YUIMETAL脱退後,文字通りの暗黒期にあったBABYMETALの「3人目問題」を解決するために導入された「アベンジャーズ・システム」。当時は3人の交代要員が公演ごとに「3人目」を務めていだが,The Forum公演では数曲ごとに「3人目」が入れ替わり,結果として3人全員がステージに立つということになった。

今にして思うことだが,これは何と過酷なシステムだったことか。ステージ上で重要な役目を果たす一方で,彼女たちの氏名や素性が明かされることはなく,「◯◯METAL」というメタル・ネームすら与えられないという存在感のなさ。かなり残酷なシステムなのに,彼女たちはひと言も言葉を発することなくただひたすらに己の任務を全うした。恐ろしいばかりのプロフェッショナリズムである。3人が総出演を果たしたTHE FORUM公演は,彼女たちの献身に報いるご褒美だったのかもしれない。

特典のピクチャー・チケットとキーホルダー

【セットリスト】

BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 
SPECIAL ARENA SHOU IN US INTUIT DOME LOS ANGELS
LIVE VIEWING

2026年11月2日(日)
ユナイテッド・シネマ幕張

01. BABYMETAL DEATH
02. from me to u
03. Distortion
04. PAPAYA‼︎
05. メタり!!
06. Kon! Kon!
07. Sunset Kiss
08. Song 3
09. KxAxWxAxIxI
10. My Queen /w Courtney LaPlante
11. RATATATA
12. ギミチョコ!!
13. THE ONE (English Ver.)
14. ヘドバンギャー!!
15. Road of Resistance


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