ライブ参戦レポ/横浜アリーナ公演1日目「BABYMETAL AWAKENS - THE SUN ALSO RISES -」鞘師里保を従えて華麗に復活したBABYMETAL

2019年6月28日(金),横浜の地でBABYMETALは高らかに復活を宣言した。今回のライブには〈The Sun Also Rises〉という副題が添えられているが,事態はまさにそのとおりの展開になったと言える。ギターの神の逝去とYUIMETALの脱退という危機に見舞われた2018年の活動は〈ダークサイド〉というコンセプトに基づき,メンバー構成はもちろん演出やセット・リストなどあらゆる面で制約が課せられた,いわば〈喪に服した〉1年だった。2019年になって時代が平成から令和へと移り変わる中,〈喪が明けた〉BABYMETALはついにかつての輝きを取り戻した。しかもそれは単純な復活劇ではなく,BABYMETALの代名詞である〈さらなる進化・成長〉を遂げた上での復活劇。そう,陽はまた昇ったのである。しかも,かつてよりも正々堂々と,高らかに,そして誇らしく。


■サポートダンサー

横浜アリーナ公演最大のサプライズの一つが「3人目」のサポートダンサーの存在にあることは明らかだ。ライブ冒頭の紙芝居で3人のサポートダンサーが「アベンジャー」として選出され,どの公演で誰が選ばれるかはキツネ様が決めるということがアナウンスされたわけだが,まるでどこかのアイドルグループを想起させる選抜システムのような演出に,誰もが大興奮したであろうことは想像に難くない。正確には3人のアベンジャーの中から1人を正式メンバーとして迎え入れるというわけではなく,あくまでもサポートメンバーの1人を3人の中からローテーションでまわすだけ。しかし3人目の正式メンバーを決めるための戦いが始まったかのように勘違いをする(妄想する)人も少なからずいたようだ。だが、はやる気持ちは分かるが冷静になった方がいい。「ちゃんと彼女(YUIMETAL)が帰ってこられるような場所を作ってあげたい」(『PMC』vol.13)というSU-METALの発言を忘れてはならない。

フタを開けてみれば,1日目は元モーニング娘。のエース・鞘師里保,2日目はさくら学院の現生徒会長・藤平華乃がサポートダンサーを務めたことは周知の通り。去年のように世間的にはほぼ無名の「影の実力者」的なダンサーを迎え入れるのではなく,知名度のある人材を登用したことは快挙と言っていい。鞘師,藤平両名とBABYMETALとの関係性について詳しく説明することはここでは省くが,SU-METALやMOAMETALと極めて濃密な〈縁〉を持つ2人の起用は,結果としてBABYMETALの魅力である〈物語性〉をよく体現した形になっている。今回の人選についてファンの誰もが興奮し,大いに語りたくなる理由の一つは,間違いなくその点にあるだろう。

結果として,鞘師里保は大健闘したと思う。申し分のないダンス・パフォーマンスだったことはもちろん,開始直後こそ緊張からかやや表情が硬かったようにも見えたが,時間が経つにつれて笑顔が多くなり,最後のRoRでは満面の笑顔で観客を煽る姿がとても清々しかった。アクションも大きく,気後れしている様子はまったくなし。日本で最も知名度が高いと言っていいアイドル・グループのエースを長年務め上げた経験は伊達ではないのだ。

ちなみに,バンドに欠けてしまった1ピースを,実力もあって知名度も高い人材でカバーするというのは,実は〈メタル・バンドあるある〉である。その意味では,鞘師里保と藤平華乃の起用はそれほど驚くべきことではないとも言えるかもしれない。

サポートダンサーの最後の1人が誰になるのか。そしてその1人は,どの公演で起用されるのか。サポートダンサーを巡る騒動は,まだ収まりそうにない。

■3人体制のBABYMETAL

今まで何度も言ってきたことだが,BABYMETALは3人体制がベストだ。もちろん3人のキャラクターも重要だが,ステージ上でのパフォーマンスの出来栄えやインパクトを考慮すると人数が3人であることが最重要。2人でも5人でもダメ。「なんかちょっと,やっぱちょっと違う」のだ。3人でしか表現し得ない絶妙な様式美というものが確かに存在しており,3人が形作るトライアングル(黄金の三角形)はBABYMETALのステージに必要不可欠な要素なのだと思う。

そして,この日のステージにはシンプルな三角形が確実に存在した。ライブ冒頭,白い衣装に身を包み,仮面で顔を隠した3人が三角形のフォーメーションでステージの上にただ立っているその姿を見た瞬間,「BABYMETALが帰ってきた!」と強く感じた理由はそこにある。正々堂々と3人でパフォーマンスできる準備が整ったからこそ,3人の親和性やシンクロの美が映える“シンコペーション”や“ヤバッ!”がセット・リストに組み込まれたのだろう。

■演出

ステージ・セットはアリーナ級の会場では標準的と言っていい作りだったと思う。Pit中央まで移動する円形ステージがあるという作りは,2017年12月の「LEGEND-S」に近い(このときは会場を端から端まで移動するステージだったが)。その円形ステージの土台部分、側面に当たる円周部分にはLEDが埋め込まれており,曲に合わせて派手に明滅する仕掛け。単純ながら効果的な演出だったと思う。

また,ステージ後方の中央には巨大なスクリーンが1枚,両サイドには小ぶりなものがそれぞれ1枚ずつ設置されていた。ステージ上の3人の姿だけでなく、曲に合わせてCGを駆使した様々な映像が投射され、パフォーマンスを盛り上げていた。2017年の「巨大キツネ祭り」で披露されたリアルタイムCG合成技術は今回も導入され,“ギミチョコ!!”や“KARATE”,“Elevator Girl”ではステージでパフォーマンスする3人の姿がCG加工されて映し出された。この手の演出はとてもクールで洗練された印象になるので,とても良いと思う。

3人の衣装とメイクはBABYMETALの原点に回帰した。まずポニーテールとツインテールが復活。MOAMETALは髪がめちゃくちゃ長くなったせいか,かつてのツインテール姿とはかなり違う印象だ。そして衣装は「これぞBABYMETAL」と表現するにふさわしい,かつての路線を踏襲した美しき戦闘服。黒を基調に銀の装飾がきらびやかな印象を与える,高貴かつドレッシーなコスチュームだ。メイクはもちろん薄めのナチュラルメイク。なお、SU-METALの〈触覚〉がなくなったことをそっと指摘しておきたい。

神バンドの面々が終始仮面をつけた状態で演奏していたのも,今回のライブの特徴といえば特徴だ。見た目はまるでGHOSTのような雰囲気。手にした楽器から,ベースはBOH,下手ギターはISAO,上手ギターはLedaであることはほぼ確実。判然としないのはドラムだが,Twitter上では青山英樹だという説が根強い。プレイスタイルから判断判断せざるを得ないが、どっも判然としなかった。何となく青山英樹はないような気もするのだが,はたしてどうだろうか。

■セット・リスト

過去を振り返らず,ただひたすら未来を見つめて前進し続けるBABYMETALの姿勢がよく反映されたセット・リストだったと思う。この日に披露された全13曲のうち,半分近い6曲が新曲で,しかもそのうち2曲は本日初披露。1stアルバムからは“メギツネ”と“ギミチョコ!!”の2曲のみ,2ndアルバムからは5曲だけという構成だった。3rdアルバムの発売が控えているため新曲重視になるのは理解できるが、それにしてもこのバランス。ずいぶんと思い切ったものだ。

SU-METALのソロ曲やBLACK BABYMETALの曲がゼロだったのはちょっぴり残念。サポートダンサー制度下ではBBMの曲を披露するのはほぼ無理だとしても,SU-METALのソロ曲はぜひとも復活させてほしいところ。去年の「Download Festivak UK」で披露された“Kagerou”がその候補の最有力ではあるが,3rdアルバムの全貌がまだ明らかになっていない以上,どうなるかは〈キツネ様のみぞ知る〉だ。

さて,ここからは時系列に沿ってライブ当日の出来事について記していく。曲についての簡単な感想も付した。

■会場到着~グッズ購入

新横浜駅に到着したのは14時頃。駅近くのバーガーキングで遅めの昼食。グッズ販売の開始は15時の予定だが,最近はすぐに売り切れてしまうことも少なくなってきたので,開始時間に合わせて会場入りしようと考えた次第。しかし食事を終えてのんびりTwitterを眺めていたら,「物販待機列が動き出した」との情報が。時刻は14時30分。急いで会場へ向かった。

一般の物販待機列はけっこう長かった。しかし列は常に小刻みに前進するので,あまり待たされている感じはしない。大敵は時間ではなく湿度。雨は降っておらず曇り空だったので日差しにやられることはなかったが,人が多こともあって蒸し暑さはかなりのもの。ときおり吹き抜ける風が心地よかった。

列に並びながらいつものように周囲を観察。並んでいるのは基本的にオッサンばかりなのだが,たまに白髪の高齢者夫妻を見かけたりするとなんだか嬉しくなる。彼らはもちろんBABYMETALのTシャツ着用。幅広い世代に刺さるBABYMETALの魅力ってすごい。コスプレをした女性がちらほら歩いているのもいつもの光景だ。他のバンドのメタルTシャツ着用率は低かったように感じた。目についたのはIron Maiden,Motley Crue,Queenくらい。異色だったのはベッドインのナップサックを背負った人。

列に並んでから1時間弱。ようやく物販会場となる建物に入ることができた。エアコンの効いた屋内は実に快適。15時30分過ぎ,無事にお目当てのTシャツとキーホルダーをゲット。購入金額5,000円というのは,今まで参戦したBABYMETALのライブ22回の中で最安だ。

どうでもいい話だが,支払いを済ませて商品を受け取る際,売り子さんが何故かあたふたしながら「こちら不良品とか……えっと……何だっけ!?あっ、返品できないのでっ!……ごめんなさい!!」と片目をつぶり笑顔で両手を合わせて謝るという事態に遭遇。





■入場待機~着席

グッズ購入後,再び駅前のバーガーキングへ。ひと休みしてからMosh'sh seat入場待機場所へ移動。しかし入場開始予定時刻の17時30分を過ぎても待機列は一向に動かない。20分,30分と時間ばかりが過ぎていく。よくできた人ばかりだったのか私の周りには文句を言う人は皆無だったが,この蒸し暑さの中,理由も分からずひたすら待ち続けるのは苦行であった。2014年~2015年あたりのライブを思い出す。

結局,予定時刻を50分ほど過ぎて入場開始。しかし発券担当が4名しかいないため進む速度は牛歩のごとし。入場口から比較的近い場所に並んでいたにもかかわらず,何だかんだで席に着いたのは19時25分のことだった。わずか数十メートルの距離を1時間近くかけて進んだ計算だ。

座席の位置は下手側。ステージからはかなり距離があり,目の前はMosh'sh PitのEブロック。ステージから最も離れたブロックだ。しかし16列目ということもあり,Pitまでの距離は近い。ステージを上から見下ろすような位置ではなく,ほぼ水平に眺めることが可能なポジション。この視界は昨年10月の「DARK NIGHT CARNIVAL」の時に近い感覚である。

ステージからは1本の花道がPit中央まで伸びており,その先にはピラミッドを上下にくっつけたような正八面体の巨大なオブジェが鎮座。あの中から何かが出てくるのだろうかと期待を抱かせるに十分な存在感を放っている。



■いざ開演

開演予定時刻の19時から約50分,突如場内が暗転してライブがスタート。

00 紙芝居

Pit中央に鎮座していた正八面体から出てきたのだろうか,移動式のスクリーンが高々と中を舞い,ステージ向けて移動を開始。そこにはBABYMETALの今までの歴史を振り返るかのように,過去の様々なライブシーンが映し出されていく。何とも感動的な演出。とりわけ去年は様々な試練があっただけに,なおさらエモい。

スクリーンが移動し終わると,今度はBABYMETALの自己紹介が始まった。「Vocal & Dance ... SU-METAL」「Scream & Dance ... MOAMETAL」という展開に背筋のゾクゾクが止まらない。ナレーションは「BABYMETAL JAPAN ... JAPAN ... JAPAN」と続く。「JAPAN」を繰り返すX JAPANオマージュの復活。何から何まで原点回帰。思わず泣きそうになってしまった。ステージ上には白い衣装に身を包み仮面を身につけた3人の姿が(たぶん本人たちではない)。しかも頭には赤いシュシュ!この光景を目にした時,身体中を電流が駆け抜けたような衝撃を受けた。ついにBABYMETALが帰ってきた!しかも3人で!この圧倒的な「帰ってきたぞ感」は筆舌に尽くしがたい。

01 新曲

1曲目はまさかの新曲。“Distortion”以降に発表された新曲はメタルの王道からはやや外れた路線だったが,この曲はいわば原点回帰。疾走感があってメロディが美しいメタル曲だった。

02 メギツネ

記憶が正しければ,この曲でステージが会場中央に移動。「3人目」が誰なのか気になって目を凝らしてステージとスクリーンを凝視したが,判然としなかった。しかし涼しげな目元と幼顔ゆえ何となくYUIMETALに似ていなくもないと思った(その時は)。後に彼女があのモーニング娘。でリーダーを務めた鞘師里保であることが判明するわけだが……。

いきなりの新曲で戸惑ったオーディエンスも,この曲の登場で一気に復活。場内は早くもお祭り騒ぎの状態に。

03 Elevator Girl

昨年10月の幕張公演,SSA公演に続いて3度目のライブ体験となったが,デジタルでノイジーな雰囲気といい,アップテンポな曲調といい,あの“あわだまフィーバー”直系の曲だとの思いを改めて強くした次第。正式にデジタル配信されたこともあってファンもよく知っているのだろう,“メギツネ”でヒートアップした会場の熱気はさらに熱くなる一方だ。

この曲では2017年10月の「巨大キツネ祭り」で初めて導入されたリアルタイムCG合成技術が再び登場。エレベーターを思わせるフレーム内にSU-METALの顔がはめ込まれ,その画像が上下に移動するイメージがスクリーンに映し出されたのだ。観ていて楽しい演出だった。

04 Distortion

去年のツアーではライブのオープニングで披露されることが多かった“Distortion”がここで登場。今日の始まりは新曲という変化球だったが,その後は3曲多々続けに畳みかけるような直球勝負。SU-METALは例によって「Show me big circle!」と観客を煽るが,複数のブロックに区分けされたPitではそこまで巨大なサークルを作れるわけもない。それでもPitのあちこちで小さめながらも複数の渦が発生しており,場内の狂乱ぶりに拍車がかかる。

05 新曲

5曲目で再びまさかの新曲披露。オリエンタルテイスト(中近東とかインドとか)あふれる音階が魅力的で,SU-METALの歌い方も今までにないものだった。エキゾチックなムードに満ちているので,この曲は欧米でウケそうな予感がする。

06 Starlight

去年の「DARK NIGHT CARNIVAL」で5人体制の素晴らしいパフォーマンスを目の当たりにしたので,はたして3人で演じるこの曲がどうなるか一抹の不安を感じていたのだが,それはまったくの杞憂に終わった。それもこれもすべてはSU-METALの凄まじいまでの歌唱によるところが大きい。劇的で壮大。まさに宇宙スケールの歌声。レーザーを駆使した照明の演出も素晴らしかった。

07 シンコペーション

去年のツアーでは封印されていた曲。ライブで観るのは2017年10月の「巨大キツネ祭り」以来だ。疾走感があってアゲアゲなので非常にライブ映えする。いわゆるビジュアル系に通じるメロディ・ラインがただただ美しくてかっこいい。3人体制だからこその振付だよなあとしみじみ。

08 ヤバッ!

これも2018年は封印されていた曲だが,“シンコペーション”よりも“ヤバッ!”の方がYUIMETALとMOAMETALにの存在感が増す曲なので,当初はひょっとしたら今後ライブで披露されないのではないかと危惧していた。それだけに,この曲のイントロが場内に鳴り響いた時は,驚きというよりもひたすら安堵。非常に安心した。ダンスが魅力的な曲なので,この曲はやっぱりライブには欠かせない。「ヤバッ!」と言って静止する振付はもちろん健在。明るくて開放的でキャッチーなこの曲は,ライブを盛り上げるための重要なファクターだ。

09 PA PA YA!!

この日最大の盛り上がりを見せたのは,間違いなくこの曲だ。この曲にフィーチャーされたF.Heroが今回のライブでBABYMETALと共演するとの情報がリークされていたため,ライブ前からファンの期待は非常に高かったはず。

パフォーマンスが始まると会場内は大興奮の状態に。とんでもなく盛り上がるお祭りソングに乗せられて,オーディエンスからは凄まじい熱量で合いの手の大合唱が発生した。かつてこれほどアグレッシブな盆踊りがあっただろうか(と思わずにはいられない」。比類なきアジテーション。「祭だ!」「踊って騒げ!」と煽られて血が騒がない人はいないだろう。今までBABYMETALのライブでとんでもない盛り上がりを見せるのは「4の歌」だと個人的には思っていたのだが,今日をもってその見解を改める必要がある。BABYMETALのライブで一番盛り上がるのは“PA PA YA!!”だ!

中盤のラップパートで満を持してH.Heroが登場。せり上がるステージに仁王立ちになったその巨体は遠目にも抜群の存在感。迫力あるラップをマシンガンのように披露してくれた。誰もが力のかぎり叫び,拳を振り上げ,頭上でタオルを振り回す――会場の熱気と一体感は間違いなくこの日一番だったと思う。

そんな“PA PA YA!!”だが,F.Heroが事前にヘイトスピーチの被害にあっていたという事実がとても悲しい。その影響で今回のライブでの共演が半ばご破産になりかけていたとのこと。恐怖と不安を抱えながらのパフォーマンスだったのか,Pitにいた観客からはマイクを持つF.Heroの手が震えていたという目撃情報もあった。

心優しきこの巨人が,いったい何の理由でヘイト攻撃されなければならないのか。彼をヘイト攻撃した差別主義者は天罰に見舞われるがいい。勇気を持ってステージに立ち,ライブを大いに盛り上げてくれたF.Heroには感謝してもしきれない。あなたはもはやチームBABYMETALの一員だ。We are The One.

10 ギミチョコ!!

場内が発狂せんばかりの状態に“ギミチョコ!!”が追い打ちをかける。SU-METALが左右からズッキュン,ドッキュンされる姿を観ることができる幸せを噛み締めた。

この曲ではリアルタイムCG合成技術が再登場した。基本的には2年前の「巨大キツネ祭り」と同様の手法で,ステージ上で踊る姿がコマ送りのように編集されてスクリーンに大写しになったのだ。楽曲のスピード感にマッチしたクールな演出に拍手。

11 KARATE

ライブはフィナーレに向けて加速する。そのことを象徴するかのように,この曲から音響が一変したような気がする。明らかに音が大きくなって音圧が増したのだ。この曲が有するグルーブ感や重量感が一層強調されて,とても迫力あるパフォーマンスに仕上がっていたと思う。終盤で3人が倒れ,SU-METALが手を貸して立ち上がらせ,3人が肩を組んで拳を掲げるという「あの演出」も見事に復活。非常にエモーショナルな瞬間だった。

そしてこの曲でもリアルタイムCG合成による演出が。2年前は演舞する3人の腕から炎が発生したが,今日は全身から火の粉が舞い散るというスタイル。文字通り身を焦がしてひたすらセイヤソイヤ戦う姿の具現化である。

12 THE ONE

本編最後を飾る“THE ONE”はPianoバージョンで披露された。今までの狂乱が嘘のように静まり返るオーディエンス。誰かが咳でもしようものなら会場からつまみ出されないくらいの静寂の中を,SU-METALの孤高の歌声が突き抜ける。

13 Road of Resistance

アンコール的な位置づけで披露されたのは定番のこの曲。爆音と疾走感がもたらす壮大なカタルシスに魂が震える思いだ。SU-METALの「かかってこいやー!」はなかったと記憶するが,それは脳内補完した。最後に「We are BABYMETAL!!」の掛け合いがバッチリあったことにも感動だ。BABYMETALのライブはこれで締めくくらないと終わった気がしない。できれば「See you!!」といって颯爽とステージを去る演出ももう一度見たいというのが偽らざる気持ちではあるが。

紙芝居

最後の紙芝居では,3rdアルバム「METAL GALAXY」が2019年10月11日に発売されること,それに伴うJAPAN TOURが2019年11月にさいたまスーパーアリーナと大阪城ホールで開催されることが告知された(それぞれ2日間)。ファンの期待にしっかりと答えるワクワク感満載のエンディング紙芝居は,いったいいつ以来だろう。もちろんファンをざわつかせる意味深な置き土産もある。「2020年10月10日」という日付のみの告知……この日にいったい何が起きるのだろうか。

「最新のライブが最高のライブ」というBABYMETALの鉄則は、〈ダークサイド〉を経た2019年になっても,その轟音のごとく揺るぎないものであることが証明されたのであった。



【セット・リスト】

00 紙芝居
01 新曲
02 メギツネ
03 Elevator Girl
04 Distortion
05 新曲
06 Starlight
07 シンコペーション
08 ヤバッ!
09 PA PA YA!!
10 ギミチョコ!!
11 KARATE
12 THE ONE
13 Road of Resistance





コメント

  1. PMCの時は、まだYUIの復帰の可能性を考えていたのは間違いないですよね。でも今はどうなんでしょうかね。もしかしたらそれは絶望的になって、それを断念したからこそ、名前の知れた人をサポートに抜擢したんじゃないですかね。今回の件はどう考えても鞘師さんから「サポートをやらせてください!」って頼んだわけじゃなく、チームべビメタからのオファーですよね。そしてオファーを受けた鞘師さんは、さんざん悩んだ挙句アップフロントに、契約解除を申し出たんじゃないかと思うんですけど。ダンスのレッスン期間を考えても、時期的に合致しそうですしね。そんでアップフロントは、自分たちの公演にまず出て、ファンにけじめをつけるってのを条件に送り出したような気がするんですけど。それと同時に思うのは、チームべビメタが、単発のサポートダンサーを頼むためだけにアップフロントを辞めさせるような無責任なことは、まずしないんじゃないかなと。もしかしたら今は、正式メンバーになるための、双方にとっての「お試し期間」ソフトランディングするための「ファン慣らし期間」なのかなって、僕なんかは、ちょっと思ってるんですけど。相当、信頼されてなきゃ、メインストリームに出てくためのフェス、大きな一発勝負にいきなり起用したりしないと思いますし。去年、海外フェスに出たことのあるプロダンサーに頼めば済む話ですしね。彼女は歌えるし、英語も出来るし、ダンスも上手い。体が絞れたらもっとキレもまして、ビジュアルもマッチしてきそうですし、彼女以上のスペックの人なんて、フリーでは中々いませんからね。でもサポートダンサーが神バンドの様にメンツがころころ変わるってのも、かなり楽しいですけどね。まあ今の所、全部、僕の想像に過ぎないんですけどw

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