YUIMETALについて語ろう

2020年6月21日 Text by TAROO-METAL

昨日6月20日はBABYMETALの元メンバーであるYUIMETALこと水野由結の誕生日だった。そこで,YUIMETALについてちょっとだけ語ろうと思う。

①武道館のステージから転落


YUIMETALに関する一番の思い出といえば,2014年3月1日の日本武道館公演での転落事故だ。多くの人がご存知の通り“ヘドバンギャー!!”の煽り場面でステージから落下。当時の私の座席は比較的ステージに近いスタンド席だったのだが,位置は偶然にもYUIMETALが煽りに来た側。目の前で突然YUIMETALの姿が見えなくなる(消える)というアクシデントは予想だにしなかった一瞬の出来事で,最初はいったい何が起こっているのか理解不能だった。どうやら落下したようだと分かってからは「YUIMETALははたして大丈夫だろうか」「公演は続行されるのだろうか」と大いに不安になったことを鮮明に覚えている。

会場がざわつく中,若干長めのインターバルを経て次の曲“イジメ、ダメ、ゼッタイ”のイントロが当然のように流れ,程なくして何事もなかったかのようにクラウチング・スタートの姿勢をとるYUIMETALの姿を目にした瞬間の気持ちと言ったらもう……。この時のステージの高さは一般的な成人男性の身長よりも高いくらい。そこから落ちたにもかかわらず傍目には無傷だったことは奇跡以外の何ものでもない。

この日のライブは,私にとっての「初めてのBABYMETAL体験」だった。「ライブを初めて観に行ったら,メンバーがステージから落下」というのは,そう滅多にあることではない。大事故にならなかったからこそ,今でも「衝撃の体験」としてオープンに話せるわけだが……。

②凛とした美しさ


YUIMETALといえば切れ味鋭いダンスが魅力。体幹の強さを感じさせる姿勢の美しさと,しっかりとした「止め」の動作が強く印象に残る。

見た目は華奢なのに,YUIMETALの姿勢は激しく踊ってもグラつかないし崩れない。彼女のダンスがまるで武道家の演舞のような正確さと力強さを感じさせるのは、体幹がしっかりしているからこそだろう。スッと立っているだけでも美しく,そのたたずまいからは凛とした美しさがにじみ出る。YUIMETALのダンスが私に与えるイメージは,鋭利なナイフあるいは日本刀だ。美しさに見とれて手をのばすと,怪我をすることになる。

YUIMETALのダンスは要所要所できちんと「止まる」から,ひとつ一つの動作が「ビシッ!パシッ!」と小気味いいしテンポも抜群。彼女のダンスがスピード感と躍動感にあふれている要因も,その辺りにありそうだ。

これはあくまでも私の個人的な見解だが,BABYMETALの曲の中でYUIMETALのダンスの素晴らしさが最もよく分かるのは“ヤバッ!”だと思う。姿勢の美しさ,的確な「止め」の動作,躍動感とスピード感,それらすべての要素が高レベルで表現されていて,YUIMETALのダンスを見るのが最も楽しい曲だと言える(そもそも振付それ自体がBABYMETALの数ある楽曲の中でも際立って個性的)。

YUIMETALのダンスを観たのは2017年9月の「巨大キツネ祭り」が最後だ。それから3年近くが経った。21歳のYUIMETALだったら,“ヤバッ!”をどう踊るだろうかとつい想像してしまう。コンテンポラリー・ダンスのような物語性に満ちた振付が印象的な“Shine”についても同様だ。たとえばMOAMETALのダンスは,2017年と2020年とでは明らかに別物と言えるくらい変化し,アップデートされている。YUIMETALが3年かけてMOAMETALと同じように進化を遂げていたら,二人が踊る“Shine”はそのような世界を創り出しただろうか。

画像=BABYMETAL公式Twitterより。




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