ライブ参戦レポ/【DAY 1】「悪魔が来たりてベビメタる」聖飢魔IIとBABYMETALが奇跡の邂逅

2025年8月30日と31日にKアリーナ横浜でBABYMETALと聖飢魔IIの対バン・ライブが実現した。「聖飢魔II vs BABYMETAL 悪魔が来たりてベビメタる」と題された世紀のライブは1日目が「遭遇 - Encounter -」,2日目が「衝撃 - Impact -」と銘打たれ,BABYMETALと聖飢魔II双方のファンを大いに盛り上げた。以下は1日目の参戦レポートである。

BABYMETALの公式Xより

○1日目の総評

BABYMETAL と聖飢魔IIがこれほど親和性の高いものとは思わなかった。独特の個性と世界観を持つもの同士だから当然と言えば当然かもしれないが,見ていて楽しい一大エンターテインメントとして最高のヘヴィメタル・ショウであった。これを実現できるのはBABYMETALと聖飢魔IIのカップリング以外にはありえない。

それと同時に,聖飢魔IIからBABYMETAL へ「とんがった個性を持つ唯一無二の存在」を継承する儀式のようでもあったと感じた。

聖飢魔IIは地球に降臨するのが30年くらい早すぎたのかもしれない。時代を先取りしすぎていたとも言える。やってる音楽はまともなメタルなのに色物扱いされ続け,SNSもなかったから世界のどこかで(BABYMETALのように)見つけられることもなかった。時代が悪かったと言えば,それまでであるが……。

なお,音量は明らかにBABYMETALの方が大きかった。全体的に迫力と勢いもBABYMETALが上回っており,正直なところ格の違いは明らかであったように思う(聖飢魔IIをおとしめる意図はないので,誤解しないでいただきたい)。持ち時間はほぼ同等ながら,聖飢魔IIがオープニング・アクト的な存在に感じられたことは事実である。演奏順を含め,そのあたりが2日目にどう調整されるか気になるところ。

Kアリーナ横浜の勇姿

○会場到着&物販

15時50分ごろに会場に到着。すでに多くのファンが集結しており,会場周辺はとてもにぎわっていた。聖飢魔IIとのツーマン・ライブということもあり,いつものBABYMETALのライブとは客層の雰囲気が明らかに異なっていた。気合の入ったコスプレをしている人も多く,アニメや漫画のイベント会場のようだった(行ったことないけど)。

今回,BABYMETALのグッズ販売はデジタル整理券方式。到着後に発券したところ16時20分〜40分の14枠をゲットできた。販売開始は12時なので,この枠の時間帯だとお目当てTシャツは売り切れている可能性が高いことは想定済み。ちなみに,整理券どころかライブのチケットがなくても買えるというコラボグッズの販売ブースを視察したところ,16時の時点ですでにほとんどの商品が売り切れていた。

コラボグッズ売場は人が少ない

BABYMETALの物販は混雑の影響か時間が押しており,予定より20分ほど遅れて17時05分ごろになってようやくQRコードが表示された。列に並んでからは非常にスムーズに売り場に入ることができたが,やはり残念ながら欲しかったTシャツは全て売り切れ(1種類残っていたが,これは欲しいものではなかった)。ボディバッグもダメだった。やむなく「METAL FORTH」のタオルを購入したものの,今回の公演のオリジナル商品ではないのでちょっと複雑な心境なのであった。

BABYMETALグッズ売場は大混雑(いつもの通り)


BABYMETALグッズの数々

○入場

グッズ購入後,そのまま入場して17時25分に着席した。Kアリーナには初めて来たが,会場内の作りが独特で印象深かった。客席は左右に大きく広がっており,すり鉢状になっていることもあって,どこからでもステージが見やすそう。さすがコンサートに特化したアリーナだけのことはある,と感じた。

この日の席はレベル5の6列目。ステージほぼ正面のやや下手寄り。ステージは遠いが,会場の構造が素晴らしいのでそこまで遠い感じはしなかった。しかも6列目の目の前は通路なので,前をさえぎるものはなし。実質的に1列目のようなものである。ステージ全体が見渡せるし,かなりの良席だった。

スクリーンには教会のような建造物の映像が映し出されており,場内には荘厳な宗教音楽のようなBGMが流されていた。いつものBABYMETALのライブとはまるで異なり,いかにも聖飢魔IIっぽい凶々しい空気が場内に満ちていた。

入場時の様子。西日を浴びていい感じ。

【LEVEL 5 / 505 GATE / 6列】からの眺め(聖飢魔IIの登場前)

BABYMETALの登場前

○先攻 聖飢魔II

定刻より5分ほど遅れて18時5分ごろに場内が暗転。「聖飢魔II vs BABYMETAL」の物語を説明する「紙芝居」がスクリーンに流され,BABYMETALと聖飢魔II双方のファンを惹きつける……。空前絶後の公演の幕が切って落とされた。先の登場したのは聖飢魔II。1日目の「先攻」は聖飢魔IIであった。

聖飢魔IIの持ち時間は1時間ほど。彼らのパフォーマンスを見たのはこの日が初めてだし,さらに言うなら楽曲をまともに聴いたのも初めてである。その上での感想をひと言で云うなら「Judas Priestの香りがする」となる。奇抜なビジュアルやコンセプトが悪目立ちしているが,曲やパフォーマンスはメタルそのもの。しかも古き良き時代を感じさせる雰囲気に満ちていた。

何より凄まじかったのがデーモン閣下の超絶シャウト。あのロブ・ハルフォードも真っ青と言ったら言いすぎだろうか。御年10万何歳になるのか定かではないが,年齢を超越したハイトーン・シャウトは「さすがは悪魔」というべきであろう。楽器隊の演奏もさすが大ベテランと言うべき安定感だった。個人的に強く印象に残ったのは重たくてソリッドなドラムである。

そのようなわけで,豊富な経験に裏打ちされた盤石のパフォーマンスに感心し,デーモン閣下の巧みなトークに思わず微笑んでいるうちに,聖飢魔IIのライブは終わりを告げた。私はヘヴィメタルを30年以上聴き続けているが,聖飢魔IIの音楽をまともに聴こうとしなかった自分を少し恥じている。それくらいかっこよくて,しかも楽しいパフォーマンスだった。

なお,この日披露された曲の中で最も気に入ったのは“JACK THE RIPPER”である。

○後攻 BABYMETAL

聖飢魔IIがステージを去り,およそ20分間の「休憩」(場内アナウンスでそう告げられた)が設けられた。場内に流れるBGMはBABYMETALの「いつものそれ」に切り替わっていた。どうやら演者に合わせていたようだ。

ステージ転換はつつがなく完了し,「後攻」のBABYMETALの登場である。「紙芝居」はこの日のための新作だった。聖飢魔IIの時に流されたものと合わせて,「キツネ様」にまつわる具体的なエピソードがここまで詳しく語られたのは初めてであろう。

BABYMETALのセットリストは約2週間前に行われた「SUMMER TOUR IN JAPAN」がベースになっていた。ツアーでは日によって入れ替えられていた新曲は“Sunset Kiss”だった。

ただしラストは完全に予想外の“イジメ,ダメ,ゼッタイ”でびっくり。曲の最後にはデーモン閣下が登場して,何やら歌舞伎っぽい所作と口上で何かを語り(よく聞き取れなかった),曲が終わるとBABYMETALの3人がさかんに「アクマ,ダメ,ゼッタイ」と叫ぶという演出が(正確には聞き取れなかったが,「イジメ」ではなく「アクマ)だったと思う)。楽曲がクライマックスを迎えて盛り上がる中,SU-METALのヴォーカルとデーモン閣下の悪魔語りが重なり合うという異様な展開は,少々カオス気味だったと思う。善と悪の戦いを意識したのだろうけど……。

ちなみにBABYMETALのサウンドはかなりの轟音だった。「SUMMER TOUR」のKT ZEPP Yokohama公演に参戦した時には,そのあまりの爆音に内臓が揺れて腕の産毛がソワソワしたが,この日のKアリーナでも同様だった(そのすまじい音圧に,LOUD PARKでのSLAYERを思い出してしまった)。この規模の会場でそれほどの轟音,それでいてバランスもほどよく聴きやすかったので,Kアリーナの音響の素晴らしさを実感した次第である。

【セットリスト】
聖飢魔II vs BABYMETAL 「悪魔が来たりてベビメタる」  DAY1 遭遇 - Encounter -
2025年8月30日(土)
Open 16:30
Start 18:00
Kアリーナ横浜

○聖飢魔II
01 ミサ曲第II番「創世記」
02 1999 SECRET OBJECT
03 JACK THE RIPPER
04 老害ロック
05 アダムの林檎〜BABYMETAL IS DEAD〜アダムの林檎
06 Kiss U Dead or Alive
07 Next Is The Best!
08 蝋人形の館
09 FIRE AFTER FIRE    

○ BABYMETAL
01 BABYMETAL DEATH
02 ヘドバンギャー!!
03 PA PA YA!!
04 BxMxC
05 メタり!!
06 Sunset Kiss
07 Song 3
08 RATATATA
09 from me to u
10 イジメ、ダメ、ゼッタイ

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