配信ライブ鑑賞レポ/「10 BABYMETAL BUDOKAN WORLD PREMIERE」まばゆいばかりの豪華絢爛なステージは必見

ファンの誰もが驚愕したまさかの「日本武道館10公演」を見事に完遂したBABYMETAL。その最終日のライブ終了直後にアナウンスされた「10 BABYMETAL BUDOKA WORLD PREMIERE」が2021年6月26日,ついに配信された。

その内容は武道館公演最終日の模様(2021年4月15日の10公演目)だった。この公演には妻METALと実際に参戦していたので(参照:ライブ参戦レポ/ついにファイナル!「10 BABYMETAL BUDOKAN - DOOMSDAY - X -」は目をみはるような光のアートだった),今回の配信はいわば「感動の復習」として観たのだが,例によって素晴らしく圧倒的だったとしか言いようがない。

BABYMETALのライブは回を重ねるたびにビジュアル的な演出がどんどん洗練されていく印象を受けるが,その象徴の一つがライティング(照明)だ。ライブ会場でその豪華なライティングを実際に目の当たりにすると,自分がどこにいるのか一瞬わからなくなるくらいの強烈な没入感を感じることになる。配信(映像)ではその素晴らしさを俯瞰して客観的に鑑賞できるのだろうと期待していたわけだが,その期待をはるかに上回る芸術的な光の世界を目撃することとなった。

映像ならではの楽しみの一つは,ステージ上でパフォーマンスするSU-METALとMOAMETALの表情を間近に見られること。寄りのショットを見ることでライブ会場では知りようもなかった様々な新発見があるのだが,今回もその例にもれず印象的なシーンがたくさんあった。

たとえば“ギミチョコ!!”。ステージ中央で3人が向き合って指をくるくる回しながら視線を交わすシーンでは,SU-METALと岡崎百々子さんが高速まばたきを披露(MOAMETALは未確認)。新たな変顔対決が行われていた。SU-METALもいつになくノリノリで,曲に合わせて様々な表情を見せていた。

SU-METALがノリノリだったというのは“ヘドバンギャー!!”からもよく伝わってきた。リズムに合わせて1度だけ頭を斜め下に振り下ろすアクションを見せる場面が2回ほどあったのだが,ものすごく自然に心地よく音楽に身を任せている様子が感じられる,とてもクールでかっこいいアクションだった。

その“ヘドバンギャー!!”を見ていてもう一つ感じたことは,サポート・ダンサーを務める岡崎百々子さんとMOAMETALのダンスのシンクロ率の高さ。正直なところアベンジャーズ・システムが採用された2019年は,サポート・ダンサーとMOAMETALのシンクロ率はYUIMETALとのそれに比べると若干劣っていたと思う。手足の角度や身体の開き方,姿勢といった細かなところで小さなズレが生じていたのだ。それがこの武道館公演に関しては,シンクロ率はかぎりなく100%に近づいたのではないかと思う。やはりライブのたびにパートナーが変わるというのは相当大変だったのだろう。サポート・ダンサーが岡崎百々子さん一人に固定され,MOAMETAL&岡崎百々子のコンビで場数を踏んできたことで完成度がぐっと高まってきたのは間違いない。

今回の配信を見ていてもう一つ気になったのは,“ド・キ・ド・キ☆モーニング”での「音飛び問題」。当日は一瞬だけだがすべての音が途切れる場面があってドキッとしたのだが,配信では音がまったく途切れていなかった。会場のスピーカーだけの問題だったのか,それとも配信するにあたって修正が加えられたのか定かではないが,いずれにしても配信では安心して観ることができたので良かった。

そして何より素晴らしかったのは,SU-METALとMOAMETALの充実感あふれる生き生きとした表情。コロナ禍でライブをできたことに対する喜び、運営に関わるすべての人に対する感謝、10日間やり切った達成感……今までにこれほど感情がほとばしっている2人の姿を見たことはない。それはRoRの終盤でSU-METALが語った感謝の言葉や,深々とお辞儀をする2人の姿にも象徴されていたと思う。BABYMETALにかかわるすべての人の気持ちと感情が完全に一体化した瞬間だった。この強烈なカタルシスこそがTHE ONEの精神にほかならない。

最後に一つだけ極めて個人的な(ちょっとした)不満を述べておく。

それは今回の配信の内容。THE ONEサイトの告知(およびお知らせメール)では「BABYMETAL結成10周年イヤーの集大成ライブ『10 BABYMETAL BUDOKAN』から選りすぐりのライブ映像を特別編集したプレミアムエディション『10 BABYMETAL BUDOKAN WORLD PREMIERE』」と説明されていた。「選りすぐりのライブ映像を特別編集」というフレーズゆえ10公演から満遍なく切り取られて配信されるに違いないと思い,自分が参戦しなかった日の様子も見られるのだろうと勝手に期待していたのだが,配信間近のタイミングで公式Twitterがつぶやいた内容は「日本武道館10公演から、十音の銅鑼が鳴り響く伝説の最終日の公演の模様を WORLDWIDE PREMIERE!」――。いつの間にか「選りすぐりのライブ映像を特別編集」が「最終日の公演の模様」に変わってしまっていた。これには正直「そりゃないよ……」と拍子抜けしてしまった(最終日には参戦していたのでなおさら)。まあ,参戦したライブであろうとそうでなかろうと,配信されれば観るし,映像作品が発売されたら買うのだけれども。

【セット・リスト】
01 BABYMETAL DEATH - Shin ver. -
02 イジメ、ダメ、ゼッタイ
03 ギミチョコ!!
04 ド・キ・ド・キ☆モーニング
05 GJ!
06 NO RAIN, NO RAINBOW
07 Distortion
08 PA PA YA!!
09 メギツネ
10 KARATE
11 ヘドバンギャー!!
12 THE ONE
13 Road of Resistanace

写真=BABYMETAL公式Twitterより
  
写真=BABYMETAL公式Twitterより


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