映画鑑賞文/「BABYMETAL LEGEND - 43 THE MOVIE」最高のライブ体験に感動

 BABYMETAL初の映画「BABYMETAL LEGEND - 43 THE MOVIE」をTOHOシネマズららぽーと船橋にて鑑賞。BABYMETALが2023年から2024年にかけて行ったワールド・ツアーの最終公演「BABYMETAL WORLD TOUR 2023 - 2024 TOUR FINAL IN JAPAN LEGEND - 43」を映画化した作品である。


○Dolby Atmosがもたらした最高のサウンド

TOHOシネマズららぽーと船橋はDolby Atmos対応劇場だったので,極上のサンウドで楽しむことができた。低音から高音までのバランスが良くて,メタルの轟音がとても上品に仕上がっていたと思う。

ライブだと音圧は素晴らしいが,ライブゆえ音質を含め音響は会場の構造や観客の多寡に左右される。サウンドエンジニアの手腕や機材の良し悪しも影響するだろう。伝統的に「音が良い会場」あるいは「音があまり良くない会場」があるのも事実である。もちろん,そのような「揺らぎ」がライブならではの醍醐味ではあるのだが……。

一方でBlu-rayなどの映像作品の場合,音質は当然素晴らしい。しかし自宅のテレビで見るわけだから,たとえ高価なオーディオ機器で再生したとしても,音量・音圧は「それなり」だ。ライブ会場でのそれには遠く及ばない。

その点,劇場において巨大スクリーンとDolby Atmosで体験するライブ映像のサウンドは,ライブでの迫力ある音量・音圧とBlu-ray再生の高音質を高いレベルで両立した素晴らしいものだったと思う。

上述の通り,ヘヴィ・メタルならではのエッジが効いた超重量級サウンドを,音の粒立ち良く非常にクリアに表現している点がまず素晴らしい。今回のライブでBABYMETALの轟音を生み出していたのは,いわゆる「西の神」。日本人とは比べ物にならない強靭な体躯により奏でられるサウンドは,とにかくパワフルだ。その強烈なサウンドを,まるで自分がライブ会場にいるかのような臨場感&迫力をともなって, 自宅でBlu-rayを見ているかのような高音質で体験できるのだから,たまらない。

さらに特筆すべきは,SU-METALの歌声が非常に聴き取りやすく,細かなニュアンスの変化にも十分気づくことができたということだ。西の神が生み出すメタルの轟音に埋もれることなく,SU-METALの歌声は宇宙を切り裂く一条の光のごとき存在感を放っていた。もともとライブでもそのように感じることが多かったが,最初から最後まで揺らぐこともブレることも一切なかったのはDolby Atmosだからこそであろう。時にブレスの音さえも聞くことができたことには心底驚いた。

なお,劇場で観ていて特に圧倒されたのは“MAYA”と“BxMxC”の2曲。音の迫力が尋常ではなかった。

上映終了後,2分間だけ写真撮影が許可された。

○“メタり!!”完全版

琉球ならではの演出が施された“メタり!!”も実に良かった。もともと日本の祭りや盆踊りを強く感じさせるお祭り曲だが,太鼓を持ったエイサー隊が登場し,曲中の掛け声も沖縄バーションにアレンジされるなど琉球色が加えられたことにより,楽曲のプリミティブな側面が強まったと思う。土着の歌と踊りを見ているような錯覚に陥ってしまった。

Bring Me The Horizonと共演する“Kingslayer”やElectric Callboyとの“RATATATA”は完全体とか完全版と呼ばれるが,琉球色が強まった“メタり!!”も,それこそが完全体(完全版),真の“メタり!!”と言えるのではないか。それくらい,この曲は琉球の地で進化したと思う。

入場時に特典としてもらえたうちわ。

◯ひと味違うカメラワーク

「LEGEND - 43 THE MOVIE」が通常の映像作品ではなく,タイトルに「THE MOVIE」とあるようにあくまでも「映画」であると主張している理由は何だろうか。その一端はカメラワークにあると思う。本作を観ればわかるが,カメラワークが通常の映像作品とは明らかに異なるのだ。もとからそうなのか編集でそうしたのかは不明だが,意図的なピンボケや過剰なアップ,全体的に不安定で揺れまくるカットが多い。それゆえ臨場感(あるいはライブ感)が強く,生々しい印象を受ける。

また,通常の映像作品では楽器を演奏する神バンドの面々はほとんど画面に出てこないが,本作では頻繁に「抜かれ」ているうように感じた。これもまたライブ感を強めることにつながっていると思う。

もちろん映画らしく随所にエフェクトがかけられていて,ひと目見ただけでかっこいいと感じるビジュアルに仕上がっている。そんな中,最も大胆な処理を施されていたのが“Monochrome”だ。曲が始まるとその曲名通り全編がモノクロ映像に切り替わり,しかもそのモノクロ映像がざらついた質感の画質だったので雰囲気が詩的というか,アーティスティックな感じがした。


○SU-METALの汗

ライブの本質とはあまり関係ないが,SU-METALが珍しくかなり汗をかいていたのも印象に残った。4曲目の“Shanti Shanti Shanti”あたりから首筋に汗が目立つようになったような気がする。最近では文字通り涼しい顔で最後まで歌い切ることが多かったので,ついつい気になってしまった。沖縄ゆえ単に暑かっただけなのだろうけど。

【鑑賞日】
2024年8月24日(土) 17:40~

【劇場】
TOHOシネマズららぽーと船橋(スクリーン4,Dolby Atmos)

【セット・リスト】
01.BABYMETAL DEATH
02.Distortion
03.PA PA YA!!
04.Shanti Shanti Shanti
05.MAYA
06.BxMxC
07.Brand New Day
08.Monochrome
09.メギツネ
10.ギミチョコ!!
11.KARATE
12.ヘドバンギャー!!
13.メタリ!!
14.Road of Resistance


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