レビュー/BABYMETALがフィーチャーされたBloodywoodの新曲“Bekhauf”はスーパーヒーロー感満載
Bekhauf / Bloodywood feat. BABYMETAL
2024年12月6日 配信開始
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画像=BloodywoodのXより |
インドのメタル・バンドBloodywoodがBABYMETALをフィーチャーした新曲“Bekhauf”をリリースした(Music Videoも同時公開)。
何よりもまず,シンプルに曲がカッコいい。恥ずかしながらBloodywoodのことは知らなかったのだが,ヒンディー語の音の響きがメタルという音楽にマッチしていて心地よい。アグレッシブかつブルータルに疾走する重量感あふれる曲調はヘヴィ・メタルそのものと言ってよく,不撓不屈の精神を表す歌詞がつむぐ世界観によく似合う。
曲名の“Bekhauf”は(たぶん)ヒンディー語で,英語では“Fearlessly”,つまり“恐れ知らず”という意味のようだ。「名は体を表す」。勇猛果敢な楽曲のタイトルとしてこれ以上にふさわしい言葉はないだろう。タイトル,歌詞,サウンド,そして攻撃的にシャウトするヴォーカルとSU-METALの女神のごとき慈愛に満ちた真っ直ぐな歌声のコントラスト――それらが一体となって生み出す個性あふれるこのサウンドを耳にすれば,否が応でもテンションは上がる。これぞまさに鋼鉄の心意気,メタル・ハートである。
魂を鼓舞する楽曲を見事に視覚化したMusic Videoも素晴らしい。実写ではなくアニメにしたのは大正解だろう。日本で言えば戦隊ヒーローもの,アメリカで言えばMARVELやDC COMICSなどのスーパーヒーローものを彷彿とさせるシンプルで分かりやすい展開は,これまたこの曲にぴったりである。
そして,“Bekhauf”のそのような特徴が,BABYMETALの存在にもドンピシャで当てはまるのだ。
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画像=BloodywoodのXより |
BABYMETALが体現するのは「戦い」に他ならない。「METAL RESISTANCE」を標榜し,ダンスとメタルの融合を試みて世界に打って出た2014年。「メタルで世界を一つにする」ために,当時の彼女たちはメタルの旗を誇り高く掲げながら,自分たちに向けられた差別や偏見と全力で戦っていた。
また,SU-METALが言うように「ライブは戦い」であり,完全アウェイのライブでは多種多様なオーディエンスを相手にBABYMETALは真正面から戦いを挑み,歌とダンスだけで彼ら/彼女らを圧倒し,また同時に魅了してきた。
さらに,たとえば“Karate”や“Road of Resistance”の歌詞が象徴するように,BABYMETALの活動は常に「道なき道を行く」ものであり,それは前例のないことをなす者の宿命,開拓者でありオリジネーターであることを自らに課してきた己との戦いでもあった。
そのようなBABYMETALの様々な「戦い」の足跡が,“Bekhauf”に刻み込まれているように思えてならない。
ビジュアル的にもBABYMETALと“Bekhauf”の親和性は高い。
いかつくも優美なBABYMETALのコスチュームはさながら戦闘服である。身にまとえばスイッチが入る衣装に身を包み,BABYMETALは偏見や差別,観客そして自分自身と戦ってきたのだ。そのビジュアルはまさに悪と戦う正義の味方,スーパーヒーローそのものだ。そんな彼女たちの出で立ちは“Bekhauf”のMVに何の違和感もなく溶け込んでおり,この曲とMVはBABYMETALのために作られたのではないかと思うほどである。
ヒンディー語と英語と日本語が飛び交うヘヴィ・メタル。これもまた実にBABYMETAL らしい「なんじゃこりゃ!?」である。タイのBodyslam,F.HEROとコラボした“Leave It All Behind”(2024年3月リリース)ではタイ語と英語と日本語の3ヶ国語だった。そして今度はヒンディー語。言語的側面からもアジア色が強い“Bekhauf”と“Leave It All Behind”により,BABYMETALは「アジアに強力なメタルあり」と欧米中心のヘヴィ・メタル界に一石を投じたのである。
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