ライブ参戦レポ/【横浜公演1日目】BABYMETALが新アルバムを引っさげて日本凱旋!ライブ・アクトとしての魅力が炸裂!
2025年はBABYMETALの単独公演を日本国内では観ることができないだろうと思っていたところ,6月末に突如発表された「BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 SUMMER TOUR IN JAPAN」の開催。わずか4公演ではあるが,飛ぶ鳥を落とす勢いのBABYMETALのライブをキャパ2,000人規模のライブハウスで見ることができる機会はめったにない(O2 Arenaを完売させるアーティストですよ!?)。個人的にはIron MaidenがZeppでライブを演るような感覚である。吉報の目にして,これは行かねば……と決意した。
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| BABYMETAL公式Xより |
とはいえチケット争奪戦が激化することは必至。まず当選しないだろうとダメ元でTHE ONE先行抽選に申し込んだところ,キツネ様が微笑んだ。8月13日(水)のKT Zepp Yokohama公演のチケットをゲットすることができたのであった。以下はそのライブ・レポートである。
○会場到着から入場まで
会場到着は17時45分頃。まず懸念材料だったロッカーの空き状況を確認。幸い十分な空きがあったので,荷物を預けて待機場所に移動。整理番号はB110番台なので,一般のmosh' sh pitにしてはまずまずか。蒸し暑い中,「mosh' sh pit 1~500」の集合場所で大人しく待機。
ちなみに今回のライブでは何もグッズを購入しなかった。もともとアイテム数が少なかった上に,定番のTシャツもデザインがあまりピンとこなかったことが主な理由。さらに約2週間後には再びBABYMETALのライブが控えているため,軍資金を少しでも節約しておきたかったという現実的な理由もある。なお,BABYMETALのライブでグッズを買わなかったのは今回が初めてである。
定刻よりも少々早い18時前に呼び出し開始。呼び出しは2段階制。1回目の呼び出しでロビーへ移動して荷物チェックと金属探知機による検査を実施。そのままロビー内で少し待たされ,2回目の呼び出しでドリンク代を支払いつつフロア内に移動するという流れ。大きな混乱もなく,スムーズに入場できた。
そんなこんなで上手側から入場し,フロアのほぼ中央やや後方よりに陣取った(柵から2列目)。時刻は18時25分。視界は良好。KT Zepp Yokohamaは柵の数が多めだから,ライブが始まっても無法地帯にはならなそう(実際その通りで,快適に楽しめた)。もっとも,フロア前方ではかなり激しい圧縮が発生したようではあるが……。
オープニング・アクトのMETALVERSEがおよそ20分の持ち時間を使って全力パフォーマンスを披露した後,約20分の小休止を挟んで19時45分頃に再び場内が暗転。いつものSEをベースにいつものナレーションが流れ,ついにBABYMETALのライブが幕を開けた。
○ライブ・バンドとしての無敵ぶり
やはりZeppのような規模の会場で体験するBABYMETALは格別だ。腕の産毛がゾワゾワするほどの音圧は久しぶり。轟音のシャワーを浴びて気分爽快,大満足。ふと調べてみたら,前回この規模の会場でBABYMETALのライブに参戦したのは今から8年前,2017年7月にZepp DiverCity Tokyoで行われた「銀キツネ祭り」だった(参考:ライブ参戦レポート/BABYMETAL「銀キツネ祭り」)。
当たり前だが,8年前のBABYMETALと今日のBABYMETALは完全に別物と言っていい。8年間で積み上げてきた経験値はそれほどまでに大きいのだ。観客を扇動する力も,会場を支配する力も,肝心要のパフォーマンスそのものも,8年前とは雲泥の差である。濃密な経験に裏打ちされたみなぎる自信とオーラが,ステージに立つ3人から強烈に発せられていたように思う。アリーナ規模の会場では感じることのできない,ある種生々しい迫力がそこにはあった。
1時間ほどの濃密なライブを楽しんで,BABYMETALはライブ・バンドとしての凄みが格段に増したと強く感じた。豪華なステージ・セットもなく,特別な演出もなく,オーディエンスとの距離が近いこのスケールの会場では,ごまかしは一切きかない。パフォーマンスの良し悪しがダイレクトに観客に伝わってしまうのだ。そのような条件下で,BABYMETALはいとも簡単に一部の隙もない完璧なパフォーマンスを披露したのである。
BABYMETALの楽曲やライブには常に遊び心があるし,彼女たちは予想の斜め上を行く行動をすることが多い。それゆえ色眼鏡で見られがちかもしれないが,この日のZeppでのパフォーマンスで明らかになったのは,BABYMETALが生粋のライブ・アクトとして世界でもトップ・クラスのクオリティをもっているということである。
例によってオーディエンスとの「対話」は極めて少ないものの,目と耳を惹きつけてやまないBABYMETALのパフォーマンス=歌とダンスとサウンドの説得力は強力無比。修行僧のごとくストイックに世界を転戦し続け,様々な環境のもとで鍛錬を積むことによって磨き上げられた表現力は,あまりにも凄まじい説得力を伴っていた。そして何より,ステージ上の3人の一挙手一投足から放たれる揺るぎない自信と,そこかしこから強く感じられる鋼のごとき強靭な結束力。BABYMETALは王者としての風格を身にまとい,そのオーラだけで会場全体を完全にして,観客の心を鷲づかみにした。
○ライブ映えする新曲
この日のライブの数日前に新アルバム「METAL FORTH」がリリースされたこともあり,セット・リストがどうなるのかがとても気になっていた。フタを開けてみれば,セット・リストの全12曲中6曲が新アルバムからというフレッシュな構成。そのうち5曲は海外公演で披露済みだったが,映像で見るのと実際にライブで体験するとのでは大違いである。新鮮味が薄れるということはまったくなかった。
「METAL FORTH」から披露された6曲の感想は以下の通り。
“メタり!!”
お盆の時期にこの曲をライブで体験できたことに意味があるような気がした……というのは冗談はさておき,すでにライブで体験済みの曲ではあるものの,その「お祭り騒ぎ感」はますます強まっていたと思う。とても楽しかった。
“Kon! Kon!”
“メタり!!”の次に披露されたというのがポイントで,和のテイストが強い曲が続いたことで日本人の血が騒いだ人も多かったのではないだろうか。言ってしまえば「妖怪ソング」なのだが,そんなイメージとは裏腹な超重量級のゴリゴリサウンドが強烈だった。
“My Queen”
残念ながら「METAL FORTH」の中で個人的に最も好きな“White Flame - 白炎 -”は披露されなかった。しかしその次に好きな“My Queen”を体験できたのは幸運だった。SU-METALの力強いロングトーンがライブではいっそう映える。とても気持ちよさそうに歌っていた。
“Song 3”
新アルバムから披露された6曲のうち,インパクトが絶大だったのが,この曲である。これはもう完全に予想外で,とにかくサウンドがエグかった。その凶悪でブルータル極まりない轟音は凡庸のメタル・バンドが尻尾を巻いて逃げ出すレベル。デス・メタルですら生ぬるい。BABYMETALの振り幅の大きさを象徴するパフォーマンスだった。
“RATATATA”
これもライブでは体験済みではあったが,盛り上がり方が尋常ではなかった。他の曲にはないディスコ調/パーティ・ソング風のノリは極めてライブ向きである。多くの人が終始飛び跳ねていた。楽しすぎ。
“from me to u”
“ギミチョコ!!”でメンバーがいったんはけた後,アンコール的な位置付けで披露された。音源を聴いた時に思った通り,やはり曲のクオリティが頭抜けて高い。とても良い曲だなあと改めて実感した。しかし会場の気流の影響か,それとも私の立ち位置の問題か,SU-METALの声がところどころ聞こえなくなる場面が何回かあったのがちょっと残念(でもこれがライブらしさでもある)。
◯終演
「See you!」と告げて3人がステージからはけてライブは終演。時刻は20時50分。約1時間と単独公演としてはやや短めではあったが,あっという間に終わってしまったという感じではなかった。むしろその充実さ・濃密さ故に「1時間しか経っていなかったのか」という驚きのほうが大きかったくらいである。
話が少々横道に逸れるが,圧巻のパフォーマンスを目の当たりにした今,BABYMETALは,あのMETALLICAとのダブル・ヘッドライナーで日本ツアーをやってもいいのではないだろうかと思った。METALLICAを日本に招聘することは集客面でのハードルが高いからもう無理だと言われているが,今のBABYMETALの世界的な人気の高さとそれに見合うライブの完成度の高さを踏まえれば,あながち夢物語でもないだろう。「やるなら前座で」などと謙遜する必要もない。若さと勢いではむしろBABYMETALの方がMETALLICAを上回っている。ダブル・ヘッドライナーは「あり」だと思う。
【セット・リスト】
BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 SUMMER TOUR IN JAPAN
2025年8月13日(水)/ KT Zepp Yokohama
Opening Act: METALVERSE
01 BABYNETAL DEATH
02 ヘドバンギャー!!
03 PA PA YA!!
04 BxMxC
05 メタり!!
06 Kon! Kon!
07 My Queen
08 Song 3
09 RATATATA
10 ギミチョコ!!
11 from me to u
12 Road of Resistance






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